2017 Fiscal Year Annual Research Report
新奇生理活性脂肪酸産生系によるマスト細胞クオリティーの制御
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17H05053
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 望 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (50451852)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪酸 / ホスホリパーゼA2 / マスト細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
エポキシ化オメガ3脂肪酸が結合したリン脂質(エポキシ化リン脂質)の特異的検出系をLC-MSにより構築し、生体内のエポキシ化リン脂質の検出を試みた。その結果、生体内にはホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールにエポキシ化オメガ3脂肪酸が結合した様々なリン脂質が存在することが明らかとなった。さらにこの測定系を用いて、PAF-AH2がエポキシ化リン脂質からエポキシ化オメガ3脂肪酸を切り出す活性があるか、in vitroで検討した。293細胞に強制発現したPAF-AH2を酵素源とし、エポキシ化オメガ3脂肪酸を添加した培養マスト細胞の膜画分を基質として反応させた結果、PAF-AH2により時間依存的にエポキシ化リン脂質の減少がみられ、同時に遊離のエポキシ化オメガ3脂肪酸が検出された。このような効果は酵素活性を欠失したPAF-AH2ではみられなかった。このことから、PAF-AH2がエポキシ化リン脂質を基質にできることが明らかとなった。またオメガ3脂肪酸のエポキシ化に関わる脂質酸化酵素をマイクロアレイにより探索したところ、マスト細胞に発現し、オメガ3脂肪酸のエポキシ化に関わる可能性のあるCYPを2つ見出した。実際、これらのCYPを293細胞に発現させ、オメガ3脂肪酸を添加すると、エポキシ化オメガ3脂肪酸の生成が確認された。これら2遺伝子は非常に相同性が高く、互いに相補的に機能していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように研究は計画通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
同定したCYPの欠損マウスを作成し、エポキシ化オメガ3脂肪酸の産生への寄与や、マスト細胞の機能への影響を明らかにする。エポキシ化オメガ3脂肪酸の作用標的に関しては、マイクロアレイによる遺伝子発現解析、核内受容体ファミリーの網羅的解析、ケミカルバイオロジー的手法を用いた解析等により明らかにしていく予定である。
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Research Products
(8 results)