2017 Fiscal Year Annual Research Report
Three-dimensional Structural Analysis of Cilia
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17H05057
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小田 賢幸 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (20569090)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 繊毛・鞭毛 / 微小管 / モータータンパク質 / 翻訳後修飾 / ダイニン / クライオ電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 繊毛微小管を構成するチューブリンの翻訳後修飾に着目し、ポリグルタミル化が繊毛微小管とダイニン制御複合体との接合面に限局して起こることを、抗ポリグルタミル化抗体による構造ラベリングとクライオ電子トモグラフィーを用いて三次元的に示した。また遺伝子改変を用いて、負に荷電したポリグルタミル化チューブリンと、正に荷電したダイニン制御複合体との間の電荷的相互作用が微小管の滑り運動を制御していることを示した。この電荷的相互作用は精緻に制御されており、相互作用が強すぎても弱すぎても繊毛運動に負の影響を与えることを明らかにした。(Kubo and Oda, Molecular Biology of the Cell 2017) 2. 繊毛ダイニンの1つである内腕ダイニンfのmotor domainを微小管に固定するtether complexを発見し、それがFAP43/FAP244とFAP44の複合体で構成されることを示した。また、内腕ダイニンfのATP依存的構造変化を三次元的に解析し、tether complexがダイニンの構造的安定性に寄与することで、モーター活性を制御していることを示した。また、tether complexにより固定された内腕ダイニンfのモータードメインは、微小管の長軸方向ではなく鉛直方向にpower strokeを起こすことを明らかにした。(Kubo et al, Molecular Biology of the Cell, 2018)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
繊毛におけるチューブリンの翻訳後修飾の生理的意義について、そして新規繊毛タンパク質の繊毛運動における役割について、それぞれ論文を発表し、研究は順調に進展している。線虫の構造解析についても、すでに方法論を確立し、論文を準備中である。センモウヒラムシについても、繊毛の三次元構造の再構成に成功したので、これも論文を準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.クラミドモナスの研究については、外腕ダイニンおよび内腕ダイニンの構築に必須な新規タンパク質の同定に成功した。この分子について、さらなる解析を進めている。 2.線虫の研究については、標的タンパク質に改変ビオチン化酵素を付加することで、近傍のタンパク質をビオチン化ラベルするproximity proteomicsについて、実験系の立ち上げを試みている。 3.センモウヒラムシについては、microinjection系を用いた遺伝子導入を試みている。成功すれば、繊毛タンパク質のラベルを行い、多細胞生物における繊毛運動の機能・構造解析を行う計画である。
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