2020 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部グルコース感受性神経における新たな調節因子と抗糖尿病薬の探索
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17H05059
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
戸田 知得 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (70571199)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖代謝 / 視床下部 / グルコースセンシング / 糖尿病 / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生活習慣病においてどのような分子が脳による血糖値のモニタリング機能を低下し、糖尿病発症に関与するかを明らかにすると共に、その分子が糖尿病治療のターゲット分子となり得るかを明らかにすることである。2020年度はコロナウイルス感染症拡大のため実験計画に変更が生じ、2021年へ予算を繰り越した。2020および2021年度の研究成果は以下の通りである。 ①我々はグルコースによって活性化される神経細胞(グルコースセンシング神経)のsingle cell RNA sequenceによって、肥満にともなう高血糖の原因となる分子Aを発見した。分子Aを肥満マウスの脳内に投与すると骨格筋のインスリン抵抗性が改善する。分子Aの作用メカニズムを明らかにするために、Wntシグナルの阻害剤を分子Aと同時に肥満マウスの脳内に投与すると分子Aの糖代謝改善作用およびシナプス数の増加が抑制された。従って、分子AはWntシグナルおよびシナプス形態の変化を介して全身糖代謝を改善することが示唆された。 ②グルコースセンシングに重要な新規分子メカニズムを明らかにするために視床下部のイメージング質量分析を行った。グルコースを投与して高血糖を誘導すると視床下部の弓状核および腹内側核においてアラキドン酸を含有する細胞膜リン脂質が低下し、PGD2やPGE2などが増加した。このプロスタグランジン生成に関する酵素をshRNAまたは阻害剤によって抑制すると、グルコースセンシング神経の活動が低下し、血糖値が増加した。 ③肥満マウスでも視床下部のプロスタグランジン生成が増加し、全身糖代謝が低下するとともに脳内炎症が増加した。プロスタグランジン生成に関する酵素を抑制すると肥満による全身糖代謝の悪化および脳内炎症の増加が抑制された。 ④以上の結果をまとめ国際科学雑誌のNature Communicationsに発表した。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(9 results)