2018 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングを用いた栄養シグナルの遺伝子発現制御メカニズムの解析
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17H05060
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武内 謙憲 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70508093)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 栄養代謝 / 脂質代謝 / 転写 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は肝臓での脂質合成系調節に極めて重要なSREBP-1cの生体での発現調節機構を詳しく解析するため、独自にin vivo Ad-luc法という画期的なプロモーター解析手法と、転写因子発現ライブラリーTFELを開発し、肝臓でのSREBP-1cの発現調節に、絶食時に誘導されるKLF15が重要であることを見出した。KLF15は糖代謝に関与し、絶食時に発現が亢進することは知られているが、その調節機構は未だ解明されていない。そこで本研究ではKLF15遺伝子発現制御機構の解明を軸に「栄養シグナルの源流」に迫ることとした。 平成29年度における研究計画において、KLF15-1aプロモーターを様々に欠損させたAd-lucコンストラクトを作成し、in vivo Ad-luc法にて、絶食において誘導されるKLF15の発現調節機構に重要なゲノム領域の絞り込みを行い、絶食時に重要なゲノム領域の絞り込みに成功した。 そこで平成30年度においては、さらにTFELを用いて、その重要な領域に結合する因子の探索を行った。その結果、絶食において誘導されるKLF15の発現調節機構に重要な転写調節因子の候補として複数の結合因子を選定することが出来た。得られた候補因子の絶食、摂食時の肝臓における遺伝子発現量を、qPCR法やマイクロアレイ法、RNA-seqにて比較定量するとともに、それらの核内タンパク量をWestern blotにて確認し、候補因子の詳細な評価を行った。さらに候補因子の生体内での肝臓における役割を調べるために、shRNA発現アデノウィルスベクターを用いてマウス肝臓での候補因子のノックダウンを行い、生体レベルにて肝臓における候補因子によるKLF15遺伝子発現への影響を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成31年1月、絶食時のKLF15遺伝子転写調節因子のマウスでの解析から、当初の予想に反し、対象としている転写調節因子に加えてさらに重要な別の転写調節因子が存在する可能性が示唆された。研究遂行上この現象の本質を見極めることが不可欠であるため、転写調節因子のvitroでの再解析を行った後、マウスでの再解析を行う必要が生じ、より詳細にマウスでの再解析を行ったため、研究の進捗状況にやや遅延が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度での計画より引き続き、in vivo Ad-luc法とTFELにより得られた絶食におけるKLF15遺伝子の発現調節に重要な領域に結合する候補因子に関する、分子レベルから生体レベルでの詳細な解析を行う。候補因子がそれらの領域内の配列に結合することをEMSA法ならびにマウスの肝臓の核分画を用いたChIP法、細胞でのレポーターアッセイを用いて確認する。さらに候補因子の生体内での肝臓における役割を調べるために、ウィルスベクターなどを用いてマウス肝臓での候補因子のノックダウンを行い、生体レベルにて肝臓における候補因子によるKLF15遺伝子発現への影響を調べる。さらに、候補因子が栄養状態の変化によりリン酸化やアセチル化、メチル化などをはじめとする翻訳後修飾を受けその転写活性を変化させている可能性が考えられるため、候補因子の生体内での肝臓における翻訳後修飾解析を、LC-MSMSを用いた高精度な質量分析法にて行う。
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Research Products
(23 results)