2018 Fiscal Year Annual Research Report
大規模医療・介護関連データベースを用いた臨床疫学・経済学研究基盤構築
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17H05077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松居 宏樹 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (70608794)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NDBデータ / DPCデータ / リスクモデル / 深層学習 / 個人情報 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は国内に存在する複数の大規模医療・介護関連データベースを統合することで、医療・介護のフィールドを超えた患者縦断データを作成し、それを用いて臨床疫学・経済学研究を行うインフラを整備することである。 そのために以下の事項を行うことを目的としている。 i)共通IDの存在しないデータベース間のデータ突合手法の開発を行う。 ii)医療・介護アウトカムの地理的・経時的変化の可視化と規定要因を明らかにする。 iii)医療・介護のフィールドを超えた、患者長期追跡データベースを作成し、診療行為や薬剤・介護サービスと長期的な医療・介護アウトカムとの関連を検証する。 本年度は昨年度に引き続き、共通IDの存在しないデータベース間のデータ突合手法の開発に取り組んだ。今年度は特に、レセプトデータベース(NDB)と病院から収集される退院時サマリ情報(DPC)の情報を連携して解析する手法を開発し成果を上げた。肺炎などで入院したあと、リハビリテーションや介護予防等の入院後の介入で患者の予後が改善するかは重要なテーマであり、NDBなどの患者の長期追跡を行うことができるデータベースでの検証が期待されている。しかし、NDB は検証に必要となる疾病重症度を把握することが出来ないという課題を抱えている。今年度は疾患重症度とレセプトデータが両方格納されているデータベース(DPCデータ)を用いてNDB等からも取得可能な情報に対し、深層学習(Deep Learning)を用いてリスクモデルを構築し、既存の疾患重症度との関係を明らかとした。これにより、DPCデータとNDBデータを用い、個人を突合することなく連携した解析を実施する道筋が立った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の進捗により、NDBとDPCデータ間の連携した解析に道筋をつけることが可能となった。今回利用した深層学習を用いたリスクモデル構築は他のデータベース間の連携にも応用が利く手法であり、さらなる進捗が望める。 さらに、現在レセプト情報と介護情報が同時に記載されるデータベースへのアクセスの確保を目指し関連機関と折衝を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はNDB とDPCを連携した解析を実施する。 具体的には退院後の種々の介入が患者の長期予後を改善しうるかどうかを検討する。 さらに、レセプト情報と介護情報の連携に向けてさらなる検討を行う。
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Research Products
(2 results)