2017 Fiscal Year Annual Research Report
ABO式血液型遺伝子転写調節機構解明と法医学および医療への応用
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17H05079
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐野 利恵 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (70455955)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ABO遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物のゲノムには、トポロジカル関連ドメイン(TAD)と呼ばれる三次元構造が存在し、このドメイン内では配列上離れたプロモーターやエンハンサーであっても、近接して相互作用し、遺伝子発現が制御されることや、TADの境界にCCCTC結合因子(CTCF)が結合することが報告されている。ABO遺伝子下流16.0-kbには、インシュレーターとして機能すると考えられる ABO遺伝子発現に係るトポロジカル関連ドメイン(TAD)を明らかにするために、血球系および上皮系細胞において、+36.0-kb siteおよびプロモーターにCTCFが結合することを証明した。KATOIII、K562細胞等において、shRNAを用いて転写因子CTCFの発現をノックダウンした。ノックダウン細胞とコントロール細胞について、ABO遺伝子発現の変化をqRT-PCRで調べ、ABO遺伝子発現が増加することを確認した。 また、CRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集によりK562細胞およびKATOIII細胞において+36.0-kb siteを欠失させ、想定されるTAD構造の形成を阻害した。これらの細胞と野生型の細胞において、ABO遺伝子発現の変化をqRT-PCRおよびRNA-seqで、血液型抗原発現の変化をFCMで調べたところ、ABO遺伝子および周辺の遺伝子発現が大きく変化したことから、+36.0-kb siteはABO遺伝子とその周囲の遺伝子発現に大きな影響を与えていることが分かった。一方、+36.0-kb site以外のクロマチンループに関わる領域について、ゲノム編集による欠失細胞の作製を目指したが、対象となる領域が広く、計画した長さの欠失細胞を作製することが困難であった。しかしながら、対象の領域の部分欠失細胞は作成できたことから、これらを用いて遺伝子発現の変化について調べることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
+36.0-kb siteを欠失させた細胞について作製し、検討を行うことができたが、その他のインシュレーターについては作製が困難であったため
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Strategy for Future Research Activity |
+36.0-kb siteを欠失させた細胞の他に、クロマチンループに関与すると考えられる領域を欠失させた細胞を作製し、遺伝子発現の変化を調べたい。
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Research Products
(6 results)