2017 Fiscal Year Annual Research Report
双極性障害のゲノムコピー数変異解析に基づく分子病態解明
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17H05090
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久島 周 名古屋大学, 高等研究院(医), 特任助教 (00732645)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 双極性障害 / ゲノムコピー数変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
双極性障害の発症には遺伝要因が強く関与するが、その分子病態は未だ不明な点が多い。そこで本研究の目的は、統合失調症や自閉スペクトラム症との関連が明らかになったゲノムコピー数変異 (CNV)に着目し、双極性障害の診断法確立と分子病態解明を行うことである。 平成29年度は、DSM-5 の診断基準を満たす双極性障害患者、及び、精神疾患の既往のない健常者から研究同意を得たうえで、ゲノムサンプリングを進めた。そのうえで、高解像度アレイCGHを用いて双極性障害患者約1000名を対象とした全ゲノムCNV解析を完了した。CNVデータを解析した結果、臨床的意義をもつ、すなわち、発症への関与が示唆される頻度の稀(<1%)なCNVを双極性障害患者全体の約6%で同定した。この中には、DLG2欠失、DISC1欠失、NRXN1欠失、PCDH15欠失、RBFOX1欠失が含まれており、神経発達に関与するこれら遺伝子の機能喪失を引き起こすことが想定された。特に、本疾患との関連が強く示唆されたPCDH15欠失(複数の患者で同定)に着目したうえで、分子病態研究を行うための準備として、本疾患のモデル動物とモデル細胞の樹立を行った。具体的には、研究協力者からの協力を得たうえで、モデルマウス(Pcdh15欠失マウス)とPCDH15欠失患者由来iPS細胞樹立を実施した。以上の研究実績をふまえ、平成30年度以降も双極性障害のゲノムサンプリング、CNV解析を継続し、樹立したモデル動物・細胞を用いた分子病態の解析を継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
双極性障害患者を対象とした全ゲノムCNV解析は予定通り進んでおり、その結果として発症との関連が示唆される頻度の稀なCNVを複数同定することに成功した。さらに有望な候補ゲノム変異であるPCDH15欠失に関しては、研究協力者からの協力をえて、モデルマウスやモデル細胞の樹立に成功しており、こちらも予定通り順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に引き続き、双極性障害患者と健常者のゲノムサンプリング、CNV解析、発症関連CNVの探索を進めていく。また発症関連CNVをもつ患者の臨床的特徴の検討、CNVデータに基づく病態パスウェイの同定について検討を進めていく。さらに、モデル細胞・モデル動物の樹立を進めるとともに、これらのリソースを用いて、双極性障害の分子病態を明らかにする。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Possible involvement of a cell adhesion molecule, Migfilin, in brain development and pathogenesis of autism spectrum disorders.2018
Author(s)
Ishizuka K, Tabata H, Ito H, Kushima I, Noda M, Yoshimi A, Usami M, Watanabe K, Morikawa M, Uno Y, Okada T, Mori D, Aleksic B, Ozaki N, Nagata KI.
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Journal Title
J Neurosci Res.
Volume: 96
Pages: 789-802
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Rare loss of function mutations in N-methyl-D-aspartate glutamate receptors and their contributions to schizophrenia susceptibility.2018
Author(s)
Yu Y, Lin Y, Takasaki Y, Wang C, Kimura H, Xing J, Ishizuka K, Toyama M, Kushima I, Mori D, Arioka Y, Uno Y, Shiino T, Nakamura Y, Okada T, Morikawa M, Ikeda M, Iwata N, Okahisa Y, Takaki M, Sakamoto S, Someya T, Egawa J, Usami M, Kodaira M, Yoshimi A, Oya-Ito T, Aleksic B, Ohno K, Ozaki N.
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Journal Title
Transl Psychiatry.
Volume: 8
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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