2017 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の診断・治療に資する新規SPECTプローブの創製
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17H05092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渡邊 裕之 京都大学, 薬学研究科, 助教 (40710786)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / SPECT / オリゴマー / タウ / 神経細胞死 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)は先進諸国を中心に多くの罹患者がいるが、その診断・治療法は未だ確立されていない。近年では、1)βアミロイド(Aβ)オリゴマーの生成、2)タウ凝集体の蓄積、3)神経細胞死という過程を経てADを発症するという概念を基盤として、病態解明および治療薬開発に関する研究が進められており、これらに対応したADの診断法の確立が求められてる。本研究では、1)Aβオリゴマー、2)タウ凝集体、3)神経細胞死の指標となりうるシナプス小胞タンパク2Aを標的とした核医学分子イメージングプローブを開発することを目的としており、今後の患者数の増加を考慮し、多数の画像診断によるAD検査を可能にするため、PETに比べて汎用性に優れたSPECT用プローブの開発研究を行う。平成29年度は1)および2)に関する検討を実施した。
1)Aβオリゴマーを標的としたSPECTプローブの開発 分子設計に関しての情報を得ることを目的に、これまでに開発してきたAβイメージングプローブであるBAP-1を用いて、そのAβ凝集体形成時の蛍光強度の上昇を経時的に測定した結果、チオフラビンTとほぼ同様の蛍光上昇を示した。また、BAP-1へのメチル基の導入数の増加がAβ凝集体への結合性に対して影響を与えることを見出した。 2)SPECT用タウ凝集体イメージングプローブの開発 タウ選択的SPECTプローブとして開発してきたBIP骨格と窒素原子の導入数や一部の環構造が異なる数種の化合物を合成した。その結果、窒素原子が1つ増加したMK-613はBIP誘導体と同様にAD患者脳切片を用いたin vitroオートラジオグラフィーにおいてタウに対する選択的結合性を示した一方、窒素原子が1つ減少したTH-42はAβに対しても結合性が見られ、環構造を変化させたMK-649はいずれの凝集体に対しての結合性も失われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)Aβオリゴマーを標的としたSPECTプローブの開発 新たな化合物設計につながる知見を得ることができたため。 2)SPECT用タウ凝集体イメージングプローブの開発 これまでに開発してきたBIP骨格を基盤に、新たなSPECT用タウイメージングプローブの母核のなり得る構造を見いだすことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
1)Aβオリゴマーを標的としたSPECTプローブの開発 平成29年度に得た知見を基盤に新たな化合物の開発を進める。 2)SPECT用タウ凝集体イメージングプローブの開発 平成29年度に見出した母核の構造最適化および、タウ選択的結合性を有する新たな母核の探索研究を進める。 3)神経細胞死の指標となりうるシナプス小胞タンパク2Aを標的としたSPECTプローブの開発 V2Aへの結合性を有する化合物を基本骨格とし、ヨウ素の導入を考慮した新規化合物の開発を進める
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