2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H05096
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
七田 崇 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, プロジェクトリーダー (00598443)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 炎症 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞後の無菌的炎症に際しては、虚血壊死に陥った脳細胞から放出される内因性炎症惹起因子(DAMPs: danger associated molecular patterns)が炎症の惹起に重要である。脳梗塞後に生じるDAMPsとしては、High mobility group box 1(HMGB1)、ペルオキシレドキシン(PRX)、S100A8/A9などのタンパク質が知られている。これらのDAMPsを蛍光標識して、脳梗塞巣から抽出した細胞に添加したところ、主に好中球以外の骨髄球系細胞(mononuclear phagocyte)の細胞内に取り込まれていることが判明した。マクロファージ細胞株を用いてDAMPsを細胞内に取り込む機能について検索した結果、スカベンジャー受容体MSR1、MARCOが重要であることが判明した。脳梗塞後に生じたDAMPsはこれらの受容体を介して、マクロファージの細胞内に取り込まれ、リソソームに運ばれ分解排除されているものと考えられた。 脳梗塞の発症1日目に比較すると、発症3日目のマクロファージはMSR1を高発現しており、DAMPsを効率的に排除する炎症収束性の細胞であった。脳梗塞モデルマウスにビタミンAやその誘導体を投与すると、脳内のマクロファージにMSR1の発現を誘導することができた。特にタミバロテン(AM80)はDAMPsの排除を促進し、炎症の収束を早める脳梗塞治療剤となり得ることを証明した(Shichita, et al. Nature Medicine 2017)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年4月からは東京都医学総合研究所にて研究室を新設し、脳梗塞後の炎症収束、組織修復に関わる免疫細胞の制御メカニズムの探索に着手できている。
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Strategy for Future Research Activity |
脳梗塞巣に生じる様々な物質(核酸、タンパク質、脂質など)について解析を続け、脳梗塞後の炎症を修復に転換する分子メカニズムを探索する。
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Research Products
(8 results)