2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H05097
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤崎 幸穂 九州大学, 大学病院, 助教 (60568963)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 変形性関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の平成29年度の課題は、ヒト早期変性軟骨の軟骨細胞のmRNAの発現プロファイルを行い、正常軟骨と比較して、有意にprotein quality control異常に関連する因子・シグナル系を明らかにして、機能解析をすることである。ヒト新鮮屍体膝より早期変性軟骨と正常軟骨を採取し、RNAと蛋白を分離して抽出した。高純度のRNAのみで、RNAライブラリーを作成し、RNAシーケンスを行った。得られたデータをフィルタリングし、発現に有意差がある遺伝子の抽出、解析を行ったところ、約300の遺伝子を同定した。発現差のあった各遺伝子群のうちで、protein quality control(autophagy、proteasomeシステム、小胞体ストレスなど)の異常に関連するdecidual protein induced by progesterone (DEPP)および慢性炎症のリモデリングに関与するG protein-coupled receptor kinase 5(GRK5)を疾患関連因子の第一候補とした。DEPP については、ヒト軟骨細胞において飢餓状態、酸化ストレスなどでその発現が亢進することを確認した。詳細な機能解析のため、CRISPR/Cas9システムを用いたノックアウトマウスの作成を現在行っている。GRK5については、siRNAによりノックダウンしたヒト軟骨細胞においてIL-6およびMMP-13の発現量の低下およびNFκB経路の活性化の抑制を有意に認めた。GRK-5 ノックアウトマウスの提供を受け、ノックアウトマウスの軟骨細胞の遺伝子プロファイルをマイクロアレイによって解析した。その結果、変形性関節症進行に深く関与する異化作用因子が著明に抑制されていることがわかった。膝内側半月板不安定モデルを作成し、早期病態について解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変性軟骨組織の網羅的な解析の後に、厳選した疾患関連遺伝子のin vitroでの機能解析とノックアウトマウスの作成と入手を行い、今後の詳細な解析へと進めることができた。残りの多因子についても、同様の研究手法を用いて新規の疾患関連因子を同定・評価するシステムを構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に同定した2因子についての機能解析を継続する。両因子ともにノックアウトマウスの入手ができており、ノックアウトマウスの受け入れ手続き(動物実験倫理審査、施設承認)を適正に行い、滞りなく研究を推進する。同時に、他の疾患関連因子の同定とその機能解析を追加し、多角的に課題の遂行を目指す。
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