2018 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子Runx2を中心とする階層的骨形成転写ネットワークの解明と応用
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17H05106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北條 宏徳 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (80788422)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 骨発生 / 転写制御 / Runx2 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
骨発生において転写因子Runx2は骨芽細胞の分化決定と軟骨細胞の成熟化に必須の転写インである。しかしながらこれらの細胞においてRunx2がゲノム上でどのように働いているか、ゲノムスケールな解析は十分に行われていない。そこで本研究では、骨発生において、Runx2を介する転写制御機構を明らかにするため、骨芽細胞・軟骨細胞において特異的・機能的なRunx2標的遺伝子の探索を行い、その検証実験を行った。前年度までに取得した骨芽細胞・軟骨細胞におけるRunx2ゲノム結合部位情報、エピゲノム・遺伝子発現プロファイルに加えて、クロマチン三次元構造topologically associating domain (TAD)を統合して、機能的Runx2標的遺伝子を探索した。TADは細胞種間で保存されていると考えられているため(Dixon JR et al., Nature 2012)、公共データベース上で利用可能な複数の細胞におけるTADマップ(http://promoter.bx.psu.edu/hi-c/view.php)を活用した。具体的には、まず骨芽細胞と軟骨細胞におけるRunx2-DNA結合領域間の比較解析を行い、各細胞種特異的なRunx2-DNA結合領域を同定した。次に、得られた領域中でエンハンサー活性を有する候補を、Runx2ChIP-seqにおけるシグナルインテンシティ、クロマチンアクセシビリティの有無および脊椎動物における配列保存性をもとに選定し、その活性をin vitroレポータアッセイで検証した。これによりRunx2の各細胞種特異的な標的エンハンサー・遺伝子セットを得た。Runx2は骨発生におけるマスター転写因子であることから、ここで取得したデータセットは骨発生における転写制御機構を理解する上で重要な基礎的な知見になり得る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに取得したデータを用いた統合解析により、有望な新規エンハンサー領域および標的遺伝子を得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに明らかになった、機能的エンハンサー候補群に対して、in vivoにおける活性特異性・機能性を検証し、転写ネットワークモデルを構築する。さらに、骨欠損・軟骨欠損マウスモデルにおける組織再生の寄与を検証する。
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Research Products
(3 results)