2017 Fiscal Year Annual Research Report
SBEによる慢性疾患患者の副交感神経活動リザーブ増大の実現
Project/Area Number |
17H05107
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Research Institution | Ibaraki Christian University |
Principal Investigator |
金子 健太郎 茨城キリスト教大学, 看護学部, 講師 (40714358)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 副交感神経活動リザーブ / Slow Breathing Exercise / 慢性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は副交感神経活動リザーブを高めるSlow Breathing Exercise:SBEを用いた慢性疾患患者の臨床効果の検討である。 本年度は主に慢性疾患と自律神経系機能との関連性を明らかにするために実験動物を用いた検討を実施した。自然発症型2型糖尿病モデルマウスを使用してテレメトリー法による心電図記録を行い、心拍変動周波数解析を行った。さらに、環境エンリッチメントの提供による自律神経系機能に及ぼす影響の検討を行った。その結果、環境エンリッチメント群は時間経過とともに副交感神経活動指標であるHF値の増加が認められ、4週間後にはコントロール群と比較して高値を示した。さらに、両群ともに暗期に比べて明期に心拍数が低くHF値が高い日内変動が認められたものの、4週間後の明期における環境エンリッチメント群のHF値はコントロール群に比べて有意に高かった。このことから、環境エンリッチメントの提供によって糖尿病モデルにおいても自律神経系機能に影響を与え、安静時の副交感神経活動を高めること、すなわち副交感神経活動リザーブを増大させることが可能であることが示された。今後、この点に関しては更に詳細な実験を行い、副交感神経活動リザーブの違いが病状進行に及ぼす影響を検討する予定である。 また、SBEに関しては、当初計画していた4週間のSBEによって得られた副交感神経活動リザーブの持続性に関する十分な評価までには至らなかった。一方で、これまでの心拍数変動周波数解析に加えて、トーン・エントロピー解析を用いて副交感神経活動リザーブの評価を行った。この解析方法においても若年健常者よりも慢性疾患を有する患者の方が副交感神経活動リザーブが低いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究実施計画の一つである動物実験を用いた副交感神経活動リザーブの検討については、NSY/Hosマウスを用いて環境エンリッチメントの提供による安静時の副交感神経活動の増大を認める結果を得ることができた。現在は、疾患発症後期のモデルマウスにおいて測定を実施中であり、病状進行との関連について検討を継続している。 一方で、もう一つの研究実施計画であるSBEの検討については、4週間のSBEによって得られた副交感神経活動リザーブの持続性に関する十分な評価までには至らなかった。以上の理由から、上記区分と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、引き続き疾患モデルマウスを用いた副交感神経活動リザーブの検討を実施する。具体的には、慢性疾患における重症度や病勢、その経過と副交感神経活動リザーブの関連性に関する検討を行う。 また、SBEに関しては、効果の持続性に関するデータの蓄積を急ぐ。くわえて、臨床効果の評価に向けた慢性疾患患者を対象としたSBEの実施方法および評価方法に関する検討を開始する。
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Research Products
(1 results)