2018 Fiscal Year Annual Research Report
DC Electric Field and Current: Novel Control Parameters for Strongly Correlated Electron Systems
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17H06136
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前野 悦輝 京都大学, 理学研究科, 教授 (80181600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 文彦 久留米工業大学, 工学部, 教授 (40231477)
寺崎 一郎 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (30227508)
菊川 直樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主任研究員 (00442731)
吉田 鉄平 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10376600)
岡崎 竜二 東京理科大学, 理工学部物理学科, 准教授 (50599602)
鈴木 孝至 広島大学, 先端物質科学研究科, 教授 (00192617)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 非平衡定常状態 / NESS / モット絶縁体 / ルテニウム酸化物 / 熱電現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
非平衡定常状態(NESS)での新奇現象の発現と機構理解に向けた研究を多彩な物質系で進めた。京都大学と久留米工業大学で研究者を雇用した。京都大学で2018年6月に年次研究会を行った。 【1】4d電子系ルテニウム酸化物 Ca2RuO4 ◆1-1: 電流誘起の反磁性とモット半金属状態 〇巨大反磁性について、モット半金属の実証と機構解明を進めた。〇通電下で増大するゼーベック係数の機構理解を進めた。NESSでの熱力学関係式の吟味からモットギャップ抑制の機構に迫った。 ◆1-2: 電場誘起の絶縁体・金属転移 〇電場・電流で誘起される構造一次相転移を伴う絶縁体・金属転移について、顕微サーマルイメージングによる解析を進めた。また、酸素過剰系の性質も研究した。〇電場の効果を電流効果と分離するため、電気二重層トランジスタ構造での金属化を進めた。〇硬X線光電子分光(HAXPES)による電流下での電子状態観測をSpring8で行った。〇発熱効果を抑制するための微細素子化に新たに取り組んだ。◆国内外に結晶試料を提供して共同研究を展開した。 【2】4d電子系酸化物:◆ルテニウム酸化物 Ca3Ru2O7に微量Ti置換したモット絶縁相結晶でNESSでの可逆的スイッチングを計測した。◆ロジウム酸化物で有望な層状物質を開発して熱電特性を明らかにした。 【3】3d電子系酸化物: Ti、Mn、Ni、Cu等を含む、ギャップの小さなモット絶縁体のNESSでの新奇現象を探った。 【4】 5d電子系酸化物: スピン軌道相互作用が支配的なイリジウム酸化物モット絶縁相に対するNESS効果について研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
◆本研究の各グループから順調に成果が出ている。さまざまな物質での、非平衡定常状態での非線形導電性や熱電効果、また金属・絶縁相共存境界での振舞などの成果があがった。国際共同研究も順調に進展している。 ◆当初はPDを8か月間、特定助教を6カ月間雇用予定であった。しかしPDは海外からの採用となり着任が2か月遅れ、特任助教は博士取得を待って2019年4月からの雇用になったため繰り越し申請をした。両者は着任し、サーマルイメージング、微細素子化による計測、3d電子系物質での新現象開拓などの研究活動を中心的に担っている。ただし雇用経費の予算枠変更が困難という事務的事情により、繰り越し予算枠は給与ではなく、特定助教の研究に必須の備品購入に充てた。
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Strategy for Future Research Activity |
名古屋大学で7月に年次研究会を行う。以下の4つの物質系ごとに、主に定常電流による非平衡定常状態(NESS)での新奇現象の発現と機構理解に向けた研究を進める。京都大学と久留米工業大学で研究者を雇用する。 【1】4d電子系ルテニウム酸化物 Ca2RuO4 ◆1-1: 電流誘起の反磁性とモット半金属状態 〇定常電流下で発見した巨大反磁性について、低温での交流磁化率測定等によりモット半金属の実証と機構解明にせまる。〇通電下で増大するゼーベック係数の機構理解を深める。電流・圧力下の比熱や超音波も駆使して、NESSでの熱力学関係式の吟味からモットギャップ抑制の機構に迫る。 ◆1-2: 電場・電流誘起の絶縁体・金属転移 〇構造一次相転移を伴う絶縁体・金属転移過程を顕微動画サーマルイメージングによって明らかにする。〇電気二重層トランジスター構造での電場誘起現象を明らかにする。〇酸素過剰系の性質を明らかにする。〇発熱効果を抑制するための微細素子化を進め、NESSでの測定も行う。〇硬X線光電子分光(HAXPES)による電子状態の直接観測をSpring8で行う。 ◆国内外に結晶試料を提供して共同研究を展開する。 【2】4d電子系ルテニウム酸化物 Ca3Ru2O7: 微量Ti置換したモット絶縁相で実現する低温NESSでの可逆的スイッチング、また新たに様々なTi濃度でおこるNESSでの新現象につき、強磁場下での性質も含めて明らかにする。 【3】3d電子系酸化物: Ti、Mn、Ni、Cu等を含む、ギャップの小さなモット絶縁体を選んでNESSでの新奇現象を探る。 【4】 5d電子系イリジウム酸化物: スピン軌道相互作用の増大で有効なJeffに基づくモット絶縁相や、ダイマー・トライマー系に対する定常電場・電流の効果について、特に熱電現象を中心に研究を進める。国内外の研究協力者から提供の単結晶も用いる。
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Research Products
(39 results)
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[Presentation] Ca2RuO4の電場印加下の軟X線吸収・発光分光2019
Author(s)
高須賀幸恵, 柴田大輔, 大槻太毅, Chanchal Sow, 米澤進吾, 前野悦輝, 中村文彦, 宮脇淳, 山添康介, 塚田智幸, 原田慈久, 吉田鉄平
Organizer
日本物理学会第74回年次大会(2019年), 2019年3月14-17日, 九州大学
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[Presentation] Mott絶縁体Ca2RuO4の電流印可下での強磁場磁化測定2019
Author(s)
米澤進吾, Chanchal SOW, Giordano MATTONIA, 沼崎凌, 木村尚次郎, 淡路智, 中村文彦, 前野悦輝, Han-Shu XU
Organizer
日本物理学会第74回年次大会(2019年), 2019年3月14-17日, 九州大学
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[Presentation] 軟X線顕微光電子分光によるCa2RuO4の電場印加下電子状態観測2018
Author(s)
高須賀幸恵, 柴田大輔, 大槻太毅, Chanchal Sow, 米澤進吾, 前野悦輝, 中村文彦, 永村直佳, 吉田鉄平
Organizer
日本物理学会2018年秋季大会, 2018年9月9-12日, 同志社大学
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[Presentation] Sr2MO4(M=V,Cr,Mn)の光電子分光研究2018
Author(s)
津田俊輔, 櫻井裕也, 菊川直樹, 宇治進也, 山岡人志, 佐藤仁, 有田将司, 島田賢也
Organizer
日本物理学会2018年秋季大会, 2018年9月9-12日, 同志社大学
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