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2020 Fiscal Year Annual Research Report

New Frontier of Substrate-Controlled Chemical Reaction

Research Project

Project/Area Number 17H06142
Research InstitutionChubu University

Principal Investigator

山本 尚  中部大学, 先端研究センター, 教授 (20026298)

Project Period (FY) 2017-05-31 – 2022-03-31
Keywordsビスホモアリルアルコール / ホモアリルアルコール / アリルアルコール / チタン触媒 / 遠隔酸化反応 / ラセミ化 / ニオブ触媒 / テトラピリジン
Outline of Annual Research Achievements

有機合成反応は二つの大きなジャンルに分けることができる。反応剤支配の反応と基質支配の反応である。反応剤支配の反応は100年以上の歴史があり、改良に改良を重ねて、現在の有機合成化学が完成した。一方、基質支配の反応に関しては必ずしも十分に発展していなかった。我々はルイス酸触媒を用いることで、この基質支配の反応を一気に発展させた。これまで不可能と言われていたビスホモアリルアルコールの不斉酸化やペプチド合成などがその範疇に入る。こうした成果をまとめて、アカウント1報とレビュー1報を発表して大きな反響をいただいた。また、開発したチタン触媒の研究によって、上で述べたビスホモアリルアルコールの不斉酸化に98%以上の選択性で達成することができた。さらには様々な遠隔酸化反応にも応用した。また、ペプチド合成でもこうした基質支配の反応が鍵となることを実証し、ラセミ化が全くないペプチド合成を完成させた。
ペプチドの合成ではペプチド鎖の様々な官能基が反応剤と配位して、付近の別の官能基を活性することが可能であり、このコンセプトによって従来のペプチド合成の限界を突破することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

我々はすでにアリルアルコールやホモアリルアルコールの不斉酸化反応に関しては発表していたが、ビスホモアリルアルコールは一部の特殊な例以外は達成できていなかった。今回、世界で初めて一般性を持った形で達成できた。
また、ペプチド合成はメリフィールドの固相合成以来、革新的な合成法はなかったが、基質支配のルイス酸活性化法に成功し、初めてラセミ化しないペプチド合成に成功した。反応はTaやNb触媒で速やかに高収率で進行するが、アミノ酸の種類によって限定される他、オキシムの還元の選択性が必ずしも一般的でなかった。そこでさらに一般性の高い基質と反応を探索した結果、BOC保護のアミノ酸が高い選択性と収率で進行した。またこれによって、ラセミ化も防ぐことに成功した。さらに、基質支配の反応性を確認するために、トリペプチドの一挙合成を試みた。配位子L11を用いたところ、遠距離の活性化に成功し、さらに簡単な触媒としてテトラピリジンを用いることで同様の一挙合成に成功した。求核置換反応は有機合成反応の中でも最も重要な反応であり、この反応は古く求核剤とハロゲン化合物で行われてきた。しかし、ハロゲン化合物はその毒性や環境負荷が大きいことから問題が多い。我々はこの反応を見直し、ハロゲン化合物を用いない求核置換反応をリン酸エステルを用いて、高収率で進行することを発見した。従来の反応に比べ、ハロゲン化合物の場合には問題であった脱離反応が進行することがなく、反応がインバージョン(反転)で高選択性で進行するなど、利点が多い他、カルボニル化合物から一挙にビニルエーテルが合成できることなどの新反応としての側面を持っている。具体的には従来のアミノ酸を一つずつ繋いでゆく手法ではなくn+m+rと複数のペプチドを一挙に連結することに成功した。これによって従来考えられなかった長鎖ペプチドのフラスコ内合成への道を開いた。

Strategy for Future Research Activity

リン酸の反応は偶然見つかった反応であるが、有機化学の従来の反応とは全く違っており、SN2反応という、有機化学の基本反応を全く書き換えることができる新反応である。発見した反応は様々な新しい側面を見せてくれているが、未だに対イオンの効果等では不明な面が多く、また計算化学での計算も終わっていない。こうした側面をしっかり解明して、今後のこの分野の展開に少しでも寄与したい。また、基質によって成功する炭素-炭素結合合成をさらに一般性を獲得することにも注力したい。
また、ペプチド合成におけるタンタルとニオブ触媒の研究をさらに進め、安定なタンタルとニオブの固体触媒の開発を進める。その他、ペプチド合成のさらなる改良を進め、無保護型のペプチド合成を完成させる。そのために、金属やホウ素触媒にも研究領域を広げてゆきたい。そして今後さらにペプチド合成を開発し完成させる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2020 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Regio- and Enantioselective Substrate-Directed Epoxidation2020

    • Author(s)
      Sawano Takahiro、Yamamoto Hisashi
    • Journal Title

      European Journal of Organic Chemistry

      Volume: 2020 Pages: 2369~2378

    • DOI

      10.1002/ejoc.201901656

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Game Change from Reagent- to Substrate-Controlled Peptide Synthesis2020

    • Author(s)
      Muramatsu Wataru、Hattori Tomohiro、Yamamoto Hisashi
    • Journal Title

      Bulletin of the Chemical Society of Japan

      Volume: 93 Pages: 759~767

    • DOI

      10.1246/bcsj.20200057

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Peptide Bond-Forming Reaction via Amino Acid Silyl Esters: New Catalytic Reactivity of an Aminosilane2020

    • Author(s)
      Muramatsu Wataru、Manthena Chaitanya、Nakashima Erika、Yamamoto Hisashi
    • Journal Title

      ACS Catalysis

      Volume: 10 Pages: 9594~9603

    • DOI

      10.1021/acscatal.0c02512

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 医薬の世界を根底から革新するペプチド合成2020

    • Author(s)
      山本 尚
    • Organizer
      nano tech 2021 第20回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議
    • Invited
  • [Remarks] 中部大学 ペプチド研究センター ホームページ

    • URL

      https://www3.chubu.ac.jp/catalyst/

URL: 

Published: 2021-12-27  

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