2019 Fiscal Year Annual Research Report
Modeling of solidification dynamics supported by 3D time-resolved in-situ observations
Project/Area Number |
17H06155
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安田 秀幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (60239762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉矢 真人 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00399601)
森下 浩平 九州大学, 工学研究院, 准教授 (00511875)
鳴海 大翔 京都大学, 工学研究科, 助教 (20827448)
|
Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
|
Keywords | 凝固 / 結晶成長 / 鋳造 / その場観察 / 放射光 / イメージング / 相変態 / トモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
三次元時間分解・その場観察手法の開発・結晶方位のその場解析: 透過像を撮影するビームモニタ,回折を測定する二つの二次元検出器(距離0.3-0.5m,2.0-2.5m)を使った装置による結晶方位分布,格子定数の測定を実現した.また,高エネルギー成分を除去した白色X線による4D-CT(時間0.5s毎,ボクセル6.5ミクロン角)によりAl,Fe合金の凝固組織の高速観察を実現した. 三次元組織解析手法の開発: フェーズフィールド(PF)モデルを用いた画像処理(PFF)を開発し,適用範囲について検討を行った.PFFでは未PFF処理の再構成像から求めた固相率と組織をそれぞれ拘束条件,初期値として,時間発展の支配方程式により画像処理する.界面曲率を一定にするように界面を補正するこの手法は,一般的な画像処理に比べて,凝固組織,特にデンドライト組織の再現に有効であった. 凝固過程の組織の定量化・凝固現象のモデリング・シミュレーション: 引き続きFe-C系においてBCC(デルタ相)からFCC(ガンマ相)へのマッシブ的変態について調べ,変態時に形成される微細なガンマ相とその粗大化が,その後の組織形成に影響していることが実証された.例えば,固液共存域でマッシブ的変態が起こると,ガンマ相の粒界が溶解し,デンドライトアームの溶断現象が起こる.さらに,微細ガンマ粒とその後の粗大化の機構を理解するための測定を開始した.また,球状黒鉛鋳鉄では,バルク試料の三次元観察により核生成後のGr(グラファイト)粒の浮上とオーステナイトへの捕捉がGr組織を決定すること,Al合金の等軸晶の形成では浮上・沈降も組織を決定する因子であることを明らかにした.さらに,PFFによりデンドライト組織の定量化(固液界面積,曲率,アーム間隔)を実現した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の目的は,金属合金の凝固組織形成の時間分解・その場観察を実現するコンピュータトモグラフィー(4D-CT)を開発し,凝固現象の理解の基礎となるミクロからメゾスケールの凝固組織・偏析の時間発展,固液共存体の脆化発現を定量的に明らかにすることである. 三次元時間分解その場観察手法・三次元組織解析手法の開発: 高時間分解能観察(時間分解0.5s・空間分解6.5ミクロン),高空間分解能観察(20s・0.5ミクロン)を実現し,当初の目標である10sごとの高空間分解能観察も達成できる見込みができた.結晶方位のその場測定の開発も終え,目標であった組織と結晶方位の同時測定を実現した.また,フェーズフィールドモデルを利用した再構成手法により,想定以上にデンドライトの定量解析が進展した.また,格子定数の測定による温度測定の向上に取り組んでいる.以上より,手法開発は順調に進んでいると判断できる. 凝固過程の組織の定量化・モデリング・シミュレーション: 従来手法では獲得できなかった定量的データ(固液界面積や固液界面の曲率)の時間発展を先に述べた測定手法を使って測定している.Al合金,Fe合金,Ni合金,多元系(ハイエントロピー合金を含む)の定量データを獲得するとともに,これらの冷却条件や固相率の依存性を系統的に解析している.さらに,定量データを利用し,偏析などの実証的な凝固現象のモデリング・シミュレーションの構築を行っている.また,マッシブ的変態とその後の組織形成の機構を解明するために4D-CTを利用した体積変化や格子定数変化の測定などを実施する段階になった.研究実績の概要で述べたように,獲得したデータに基づいたモデリングも行っており,予定した実証的モデル構築に向けて研究を進めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
三次元時間分解・その場観察手法の開発:これまでの成果に基づいて,目標である高空間分解能観察(10s程度・1ミクロン)を実現する予定である.すでに時間分解20s程度・空間分解0.5ミクロンを実現しており,装置・観察条件の変更により実現すると考えている.4D-CTなどの実験と熱力学原理に基づいたフェーズフィールドモデルに画像処理を組み合わせた手法は,デンドライト組織に再現に有効であることが明らかになっている.今後,フェーズフィールドモデルの時間発展計算なども含めて,時間分解・その場観察(二次元,三次元)の新たな解析手法として確立することを目指す. 凝固過程の組織の定量化:これまでに実施したFe-C系のマッシブ的変態,オーステナイトの粗大化から鋳造欠陥形成との関係, 鋳鉄やアルミ合金の組織形成機構の理解を深化させる.また,着手している4D-CT(組織と体積)とX線回折(結晶方位分布,格子定数の変化)を発展させて,4D-CTの短所であった温度精度の向上に取り組み,熱的にも精度の高い定量データの獲得を目指す.また,4D-CTを利用した固液共存体の変形を実施し,新たな実験手法として確立する. 凝固現象のモデリング・シミュレーション:凝固組織の形態(形状,デンドライトアームの発達)と定量データ(体積,固液の界面積,固液界面の曲率)を利用した凝固現象のモデリングを進める.さらに,固液共存体の変形では,固相粒子の運動(並進・回転)の定量化を実現し,固液共存体の変形機構の検証,モデル構築を目指す.これらの取り組みからマクロ偏析モデル,固液共存体の変形を取り扱うマクロモデルなどの発展を目指す.デンドライトアームの溶断・分離,粒界での溶断,固液共存体の変形帯での溶断などの観察結果を理解するため,格子静力学やフェーズフィールドモデルといった計算材料科学からの知見も含めたモデル化も進める.
|
Research Products
(46 results)