2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H06160
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
坂野 仁 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特命教授 (90262154)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 嗅覚情報処理、 / 情動・行動の出力判断、 / 臨界期の刷り込み記憶、 / 呼気/吸気と本能/学習判断、 / 対立する判断の裁定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高等動物における情動・行動の出力判断の回路レベルでの解明を目ざし、嗅覚系の刷り込みを誘導するシグナル分子としてSema7A/PlxnC1を、ポジティブな記憶の価値付けに必須な分子としてオキシトシンを同定し eLife誌 (2021) に発表した。 本研究課題では、上に述べた先天的本能回路の可塑的な修飾を踏まえ、先天的な本能判断と記憶に基づく学習判断のせめぎあいと最終的な出力判断の裁定メカニズムの解明を目標とした。これについては、嗅覚系の二次投射に関してAnnu. Rev. Physiol. (2021) の総説に共著者として加わって頂いた東大名誉教授(生理学)の森憲作先生の協力を得て、新たに2つの論文として我々の見解を発表した。先ず Front. Neural Circuits (2022) には、本能回路と学習回路が僧帽細胞と房飾細胞によって、それぞれ呼気フェーズと吸気フェーズに分かれて別々に処理されている事を報告した。 もう一つの Front. Behavioral Neurosci. (投稿中)の論文では上記の本能判断と学習判断に加え、匂いの外部からの情報と体内情報が、吸気と呼気に分けてそれぞれ処理されている事を報告した。高等動物の嗅球では、嗅覚神経地図が左右の嗅球で更に対称的な重複マップとして2対存在する事が知られている。この重複した神経地図の存在理由については長年謎であったが、我々はこの論文でlateralマップは環境情報を主として学習判断の対応に、medialマップは覚醒を必要としない生理学的な対応に分かれて機能している可能性について報告した。 これら論文では、本能判断と学習判断の為の神経回路と価値付け機序についても我々の見解を示し、2つの出力判断が対立した場合の裁定については、扁桃体に於ける正及び負の価値付け領野の活性化レベルの相互相殺である可能性が高いと結論付けた。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)