2019 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ膜特異的脂質環境の細胞内情報発信プラットフォームとしての新機能の解明
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17H06164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (40167987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 望 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (50451852)
向井 康治朗 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90767633)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 膜脂質 / オルガネラ / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞質 DNA 応答分子 STING のオルガネラ膜脂質による制御:昨年度の成果により、STING下流シグナルの活性化にはゴルジ体のスフィンゴミエリンが必要である可能性が示唆された。そこで本年度では スフィンゴミエリンとともに脂質ラフトを構成するコレステロールの必要性を検証した。具体的には、25-ヒドロキシコレステロールを細胞に添加することで、コレステロールを小胞体からゴルジ体へ輸送するタンパク質OSBPの機能を阻害した。その結果、25-ヒドロキシコレステロール添加により、STINGの小胞体からゴルジ体への輸送、およびSTINGのパルミトイル化は阻害されなかった一方で、TBK1、STING、IRF3のリン酸化が抑制されることが明らかとなった。この結果から、パルミトイル化されたSTINGによる下流シグナルの活性化に、ゴルジ体のコレステロールが必要である可能性が示唆された。 初期エンドソームに同定される新規シグナル分子の解析:昨年度質量分析により同定したPI3P近傍タンパク質の機能解析を行った。同定されたタンパク質の細胞内局在を評価したところ、初期エンドソームだけでなく後期エンドソームや小胞体に局在する分子が複数存在することが明らかとなった。 DPPCによるTLR4活性化機構の解析:リン脂質リピドミクス解析により、DPPCが豊富に存在するマウス組織、細胞を探索した結果、DPPCはマクロファージに多く存在することを見出した。一方、骨髄細胞からin vitroで分化させたマクロファージではDPPC量は多くなかった。そこで、骨髄由来マクロファージにDPPCを導入し、生体マクロファージと同程度まで増加させたところ、LPSによる炎症性サイトカインの産生が顕著に増強された。この効果はPOPCの導入ではみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、PI3P近傍タンパク質を同定し、その機能解析に着手することができた。また、STINGの活性化がゴルジ体の脂質ラフト様ドメインで活性化していることを示すことができた。また、リン脂質リピドミクス解析により、マクロファージにDPPCが多く存在することを見出し、LPS刺激時の炎症応答において重要な役割を果たすことを見出した。 以上の理由から、本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
[リサイクリングエンドソーム膜PSによるHippo-YAP経路の制御]本研究のの解析の中で、リサイクリングエンドソームのPSは、Latsのタンパク量の制御だけでなく、YAPの脱リン酸化自体も亢進させる可能性を見出している。そこで、本研究の残りの期間で、PS 近傍タンパク質として同定した、セリンスレオニンホスファターゼファミリー分子に関して解析を行う。 [初期エンドソーム、ゴルジ体に同定される新規シグナル分子の解析] 本研究のこれまでのの成果として、PI(3)Pプローブ-APEX2コンストラクトを利用して、初期エンドソーム近傍タンパクを質質量 分析にて704個同定している。今後はPI(4)Pプローブ-APEX2コンストラクトでも同様の実験を行い、ゴルジ体近傍タンパク質のリストと比較 することで、初期エンドソーム、ゴルジ体に特異的なタンパク質を絞り込み機能解析を行う。 [細胞質 DNA 応答分子 STING のオルガネラ膜脂質による制御]本研究のこれまでの成果として、STING経路がゴルジ体の脂質ラフト様ドメインで活性化している可能性を見出した。今後は、この可能性を検証するために、ゴルジ体膜状でのSTINGの活性化をin vitroで評価する実験系を作成し、スフィンゴミエリン分解酵素やメチルベータシクロデキストリンを用いることで、ラフト脂質の要求性を直接的に評価する。 [非ミトコンドリア型カルジオリピンによる精子形成シグナルの制御] 本研究の中で、非ミトコンドリア型カルジオリピンが精子細胞に存在しており、精子形成に重要である可能性を見出している。本年度は精子形 成に必要な分子の中で非ミトコンドリアカルジオリピンと相互作用する分子を探索する。
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[Journal Article] FAM48A mediates compensatory autophagy induced by proteasome impairment2019
Author(s)
Arata, Y., Watanabe, A., Motosugi, R., Iemura, S. I., Natsume, T., Mukai, K., Taguchi, T., Hirayama, S., Hamazaki, J., and Murata, S.
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Journal Title
Genes Cells
Volume: 24
Pages: 559-568
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Osh Proteins Control Nanoscale Lipid Organization Necessary for PI(4,5)P22019
Author(s)
Nishimura, T., Gecht, M., Covino, R., Hummer, G., Surma, M. A., Klose, C., Arai, H., Kono, N., and Stefan, C. J.
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Journal Title
Mol Cell
Volume: 75
Pages: 1043-1057.e8
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Predominant localization of phosphatidylserine at the cytoplasmic leaflet of the ER, and its TMEM16K-dependent redistribution2019
Author(s)
Tsuji, T., Cheng, J., Tatematsu, T., Ebata, A., Kamikawa, H., Fujita, A., Gyobu, S., Segawa, K., Arai, H., Taguchi, T., Nagata, S., and Fujimoto, T.
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Journal Title
Proc Natl Acad Sci U S A
Volume: 116
Pages: 13368-13373
DOI
Peer Reviewed
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