2020 Fiscal Year Annual Research Report
オルガネラ膜特異的脂質環境の細胞内情報発信プラットフォームとしての新機能の解明
Project/Area Number |
17H06164
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (40167987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 望 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (50451852)
向井 康治朗 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (90767633)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | 膜脂質 / オルガネラ / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
[リサイクリングエンドソーム膜PSによるHippo-YAP経路の制御]本研究の成果により、細胞増殖時にリサイクリングエンドソームのPSがEvectin-2/Nedd4E3リガーゼを介してLatsを分解に導くことで、YAPの リン酸化を抑制していることを見出した。本年度はこの解析をさらに進め、リサイクリングエンドソームのPSは、Latsのタンパク質量を制御するだけでなく、YAPの脱リン酸化自体も亢進させる予備的データを得た。具体的には、PS 近傍タンパク質として、セリ ンスレオニンホスファターゼファミリー分子を12 個同定し、その中でPPP1R12A という活性調節サブユニットがリサイクリングエンドソ ームに局在することを示唆する結果を得た。さらに、PPP1R12A発現抑制時にYAPのリン酸化が亢進すること、癌細胞の増殖が抑制されることを見出した。また、TCGAデータベース解析を行い、PPP1R12Aを高発現する乳がん患者は生存率が低いことを見出した。 [初期エンドソーム、ゴルジ体に同定される新規シグナル分子の解析]PI(4)Pプローブ-APEX2でも近傍タンパク質の同定を行った。その結果、ゴルジ体に局在するなタンパク質を多数同定した。その内、機能未知のタンパク質を解析した結果、V-ATPaseと結合すること、糖脂質合成に関わることが明らかになった。 [非ミトコンドリア型カルジオリピンによる精子形成シグナルの制御]本研究の中で、非ミトコンドリア型カルジオリピンが精子細胞に存在しており、精子形成に重要である可能性を見出している。本年度は精子形成に必要な分子の中で非ミトコンドリアカルジオリピンと相互作用する分子を探索した。その結果、Cullin3のNeddylation複合体が非ミトコンドリア型カルジオリピンと相互作用することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、リサイクリングエンドソーム膜PSによるHippo-YAP経路の制御を担うタンパク質の解析を行い、PPP1R12Aがリサイクリングエンドソーム上でHippo-YAP経路を制御するエフェクタータンパク質である可能性を見出した。またゴルジ体膜に局在する新規タンパク質を同定し、それが糖脂質合成に関わることを明らかにした。さらに、精子形成に重要な非ミトコンドリアカルジオリピンと相互作用するタンパク質としてCullin3のNeddylation複合体を見出した。 以上の理由から、本研究は順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
[細胞質 DNA 応答分子 STING のオルガネラ膜脂質による制御] 本研究のこれまでの成果から、C6セラミドおよび25-ヒロキシコレステロールの添加により、ゴルジ体の脂質ラフト様膜環境の形成を阻害する と、STING経路の活性化が抑制される結果を得てきた。しかし、これらの脂質は細胞の生存に必須であるため、培養細胞を用いた実験系では脂 質ラフト構成脂質(スフィンゴミエリン/コレステロール)の必要性を直接的に検証することができなかった。そこで今後は、in vitroでゴ ルジ体膜上でのSTINGの活性化を評価する実験系を作製し、STINGの活性化にスフィンゴミエリンおよびコレステロールが必要であるかを明らか にする。 また、STINGはゴルジ体でTBK1を活性化した後に、リサイクリングエンドソーム(RE)を通過して最終的にリソソームで分解されるが (Nat Commun 2016)、このSTINGのゴルジ体以降の膜輸送経路の分子機構はほとんど明らかになっていない。そこで今後は、STINGがリサイクリングエンドソームからリソソームへ輸送される分子機構に関してオルガネラ膜の動態に着目しながら解析を行う。
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Research Products
(32 results)
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[Journal Article] Homeostatic regulation of STING by retrograde membrane traffic to the ER2021
Author(s)
Mukai, K., Ogawa, E., Uematsu, R., Kuchitsu, Y., Kiku, F., Uemura, T., Waguri, S., Suzuki, T., Dohmae, N., Arai, H., Shum, A. K., and Taguchi, T.
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Journal Title
Nat Commun
Volume: 12
Pages: 61
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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