2019 Fiscal Year Annual Research Report
Extensive analyses of the LUBAC ubiquitin ligase
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17H06174
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩井 一宏 京都大学, 医学研究科, 教授 (60252459)
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Project Period (FY) |
2017-05-31 – 2022-03-31
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Keywords | ユビキチン / 炎症制御 / B細胞リンパ腫 / LUBACリガーゼ / ミオパチー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らが発見した直鎖状ユビキチン鎖は現在では刺激依存的なNF-kappaB活性化、プログラム細胞死抑制に寄与する刺激伝達系として世界的に認知されている。さらに、直鎖状ユビキチン鎖を選択的に生成するLUBACユビキチンリガーゼ(HOIL-1L、HOIP、SHARPINから構成される)の機能亢進、低下がガン、自己炎症性疾患と免疫不全の合併疾患の発症に関与することも報告され、臨床的にも注目を集めている。本提案ではその普遍化と疾患研究の基礎を築くことを目指し、これまでの研究成果を踏まえ、1.LUBACユビキチンリガーゼの活性調節と機能発現機構の解析、2.直鎖状ユビキチン鎖による新規炎症、免疫調節機構の検索、3.LUBACサブユニット欠損マウスを用いた新規バイオロジーの開拓、4.LUBAC活性化による発ガンイニシエーション機構とLUBAC阻害剤の開発の4点から研究を推進している。その中で本年度は以下の研究を行なった。 1.LUBACには直鎖状ユビキチン鎖を生成する活性中心であるHOIPだけではなく、HOIL-1Lもユビキチンリガーゼの活性をもつ。HOIL-1Lのリガーゼ活性の消失はLUBACの直鎖生成の酵素活性が増強することでSHARPINの欠損によって惹起される免疫不全症状を改善すること、細胞内感染菌の感染を抑制することを明らかにした。 2.代表者らはメラノーマ、大腸癌モデルを用いて、癌細胞内のLUBACの活性亢進が炎症依存的な細胞死を抑制することで癌の進展に関与していることを明らかにした。 3.LUBACの複合体形成部位の構造解析の成果に基づいたLUBAC阻害剤の化合物スクリーニングで、複合体形成を阻害する化合物候補を含む標品を単離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画のうち、すでに、3項目においては成果が論文として報告されている(Cell Reports誌, 2018、Nature Communications誌, 2019、Nature Cell Biology誌 , 印刷中)。他の研究計画についても順調に推移している。 さらに、本研究の成果を踏まえ、すでにLUBAC制御と腫瘍免疫の研究に着手するなど、新たな展開が生まれている。加えて、LUBACの活性亢進と自己免疫疾患との関連についても新たな知見が得られつつある。 それゆえ、厳しく評価しても本研究は当初の目的に向けて順調に進捗していると考えられ、成果を踏まえた発展も考慮すれば、予定以上の成果が見込まれる可能性が高いと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は順調に推移しており、原則的には当初の研究計画に沿って研究を推進する。
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