2018 Fiscal Year Annual Research Report
Monitoring of outbreak mechanism by grasping actual conditions of building environmental microbiome
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17H06216
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
加藤 信介 東京都市大学, 工学部, 教授 (00142240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 一秀 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (20329220)
柳 宇 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (50370945)
永野 秀明 東京都市大学, 工学部, 講師 (50610044)
山中 俊夫 大阪大学, 工学研究科, 教授 (80182575)
羽山 広文 北海道大学, 工学研究院, 教授 (80301935)
小林 光 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90709734)
桃井 良尚 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40506870)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 建築環境・設備 / 公衆衛生 / マイクロバイオーム / 集団感染 / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校や公共施設、老健施設など、感染症の感染リスクがあると考えられる場所での感染リスクを、空気中及び建具や家具表面などに存在するウイルスや細菌など、従来はその直接的観察評価が困難であった病原物質を、次世代シーケンサによる全ゲノム(メタゲノム)解析が可能としたこれら微生物叢(MicroBiome、マイクロバイオーム)の解析から感染リスクを評価し、有効な感染防止策(消毒など)に繋げることを目的とする。 室内環境中のマイクロバイオームの実態調査は、北海道から九州までの日本の主要な都市をカバーする。建物用途としては、感染リスクの高い不特定多数の人々が集まる病院待合室、免疫が低く感染リスクの高い老健施設、小学校、一般のオフィス環境を想定した大学研究室などを対象とする。マイクロバイオームの実態調査は、人由来のマイクロバイオームの多様性を排除するため、多数の人の接触が予測される室内の接触面(ドアノブなどが代表的)や多数の人々が存在する室内空気を対象とする。本年度は、その二年目として、保育施設、小学校、病院、バス車内などの室内における室内空気中及び室内表面のマイクロバイオームを採取し、その組成を遺伝子解析した。その結果、腸内細菌や皮膚常在菌を含むグループであるフィルミクテス門Firmicutesが多く検出され、大腸菌や緑膿菌を含むグループや、腸内や土壌などに広く存在するバクテロイデス門Bacterioidetesも検出された。日和見感染症や呼吸器系疾患の原因菌も検出され、室内環境における疾患リスクが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね、順調に推移している。研究代表者および分担者は、当初の計画通り各担当地域におけるサンプルの採取および解析・分析を進めている。本年度の研究結果は、令和元年度(2019年)の日本建築学会大会論文において、公表予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、海外からの人から人への感染症侵入のリスクの高まる2020年の東京オリンピック開催までに一応の結果を出すことを念頭にまず3年間の研究を予定しており、現在までに研究は順調に進捗している。室内環境中のマイクロバイオームの実態調査は、北海道から九州までの日本の主要な都市をカバーし、建物用途としては、感染リスクの高い不特定多数の人々が集まる病院待合室、免疫が低く感染リスクの高い老健施設、小学校、一般のオフィス環境を想定した大学研究室などを対象としているが、この方針は変わりない。今後は、検出されたマイクロバイオームの地域特性や、周囲環境条件との相関を分析することを目指す。
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