2017 Fiscal Year Annual Research Report
Ferroelectric composed of two elements
Project/Area Number |
17H06240
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 満 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30151541)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 強誘電性 / フェリ磁性 / マルチフェロイック / 単結晶 / 薄膜 / 溶液法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、主にkアルミナ型酸化物の薄膜、自立膜、溶液法による薄膜・厚膜作製を試みた。まずゾルゲル法により、GaFeO3とAlFeO3の薄膜作製に成功した。この薄膜はSrTiO3単結晶状に作製することに成功し、世界で初めて溶液法で単結晶薄膜を得た。本年度は2元系であるkアルミナ型Al2O3、Ga2O3、Fe2O3の薄膜化も試みたが単一相の生成は確認できなかった。引き続き次年度も試みる。従来kアルミナ型強誘電体は単結晶、多結晶ともリークが大きく強誘電性の測定が困難で、膜を、SrTiO3(111)面上に堆積され、強誘電性と磁性が評価されている。本年度は、単結晶のリークを押さえるべく、単結晶に価数の異なる2元素を共添加してが絶縁性の向上は認められなかった。薄膜に関しては、数ナノから単一単結晶までドメインサイズを8桁程度変化させた膜を作製して、結晶粒界の構造と欠陥構造を第1原理計算の結果と対照しながら詳細に検討した。その結果、世界で初めて単結晶膜の作製に成功したが、下部電極の選定が困難を極めたため、次年度にこの問題を持ち越すことにした。さらに、これまでの研究で、kアルミナ型酸化物は、極めて良好なRRAM特性を有することが判明しているため、各種薄膜のRRAM特性についての研究も進めた。その結果、AlFeO3系が極めて良好な特性を示すことを確認した。また、単結晶の磁気転移を詳細に解析した結果、GaFeO3の磁気転移は2段階で進行することが判明した。この結果を踏まえ、添加元素の位置選択性を考慮しながら、1段目の磁気転移点と磁化の大きさを制御しながら、いわゆるマルチフェロイック特性の向上もめざして、研究を進行させた。さらに、新たなkアルミナ型酸化物は斜方晶系の単結晶基板として有用であるため、特定の方位を持つ薄膜堆積用基板として研磨し、各種薄膜を堆積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板販売会社の都合によりスムーズな基板購入が難しかった時期もあるが、薄膜作製は予想外の結果を得ることがしばしばであった。特に透過型電子顕微鏡によるドメインの観察は、想定していた以上に多くの情報を得ることが出来たため、関連分野での学会で成果発表を行い、多くの反響を得た。2元化合物強誘電体分野に従事する研究者は確実に増加しており、本研究テーマの選定は、極めて適切であったと自己評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、これまでの方針を維持しながら、常に外部の情報を取り入れつつ研究方針も微調整を加えながら進行させる。薄膜作製と単結晶合成を同時に進めながらデータの統一性を図り、元素置換を通して、高品質薄膜作製と強誘電性発言メカニズム解明、新物質探索指針提案を目指して研究を強力に推進する。特に、共同研究を進めている研究所で最新の単結晶育成装置が設置され、動作確認が終了していることから、次年度以降、この装置を使用して育成した感結晶の品質改善を進めながら、2元化合物強誘電体単結晶あるいはこれを利用した新しい研究用基板としての可能性を提案してゆくことも必要である。初年度で元素置換としてはほぼ考えられる元素を置換したこともあり、次年度以降は置換元素と磁化特性、強誘電性の関連も体系化する必要がある。第1原理計算を実施している共同研究者との連携は極めて良好であり、常に、研究進行に必要な情報を得ることができる。次年度以降もこの体制を維持しながら研究を進行させる。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] k-Al2O3型(A,Fe)2O3(A=Al,Ga,Fe,Sc,Rh,In)酸化物の強誘電性と磁性2017
Author(s)
伊藤 満, 濵嵜 容丞, 片山 司, 越阪部 拓也, 安井 伸太郎, 谷山 智康
Organizer
日本物理学会第72回年次大会
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