2018 Fiscal Year Annual Research Report
Differentiating extracellular vesicles by environmental disturbance method
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17H06255
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
芝 清隆 公益財団法人がん研究会, がん研究所 蛋白創製研究部, 部長 (40196415)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | エクソソーム / エキソソーム / 細胞外分泌小胞 / 微粒子 / マイクロ小胞 / EVs / Exosomes / 差分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究では、「超精密密度分画法」で密度により精密分離したエクソソームの、個人間での「ドリフト」を利用してサブクラス化されたエクソソーム関連タンパク質が、それぞれどのような生物学的特性に由来したエクソソームサブクラス化を反映しているかについて、それぞれのタンパク質について過去に報告されている文献の調査や、既存のパスウェイ解析などを用いて調査した。さらに、近年そのデータが急速に蓄積しつつある、各種細胞外小胞(エクソソームを含む「広域EVs」)の放出機構を考慮しながら、エクソソーム密度のサンプル間でのドリフトの原因となる生物学的な機構への考察を進めた。 また、唾液には、血液や尿と違い、多量の口腔内微生物由来の微粒子を含むことから、これら口腔内微生物由来の分子が、広域EVsにどのように入り込んでくるかを、ユニバーサル細菌ゲノムPCR、および透過型顕微鏡観察で明らかにした。さらに、「超精密密度分画法」の遠心条件を変化させて、「ドリフト」を引き起こす因子の同定を解析した。「ドリフト」を引き起こす原因タンパク質として、唾液腺に特異的に発現しているチャネルタンパク質に注目しており、このタンパク質の唾液広域EVsでの発現パターンも解析した。 また、昨今「内部にではなく、外部に積荷を積んだエクソソーム」への注目が集まっているが、これら外部積荷が洗浄という簡単な操作で差分化できることを示し、論文発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エクソソーム密度のサンプル間でのドリフトの原因となる生物学的な機構への考察については、さらに調査を進め、今年度中に結論を出す。唾液内口腔内微生物由来の分子が分画後のEVに与える影響を調べるために、健常者唾液を差分遠心法により5分画に分離し、それぞれの分画に含まれる、細菌由来ゲノムDNAをユニバーサルプライマーを用いたPCRて定量化した。その結果、いわゆるエクソソーム、マイクロ小胞分画での細菌ゲノムDNAの存在は限定的であることが分かった。ただし、各分画の透過型電子顕微鏡観察からは、細菌と類似した構造体が観察されることから、結論を得るためにはさらに慎重な評価が必要と考える。また、唾液前処理が与える分画化への影響を調べるために、健常者唾液を各時間で超音波処理した検体のエクソソーム分画の変化を観測した。その結果、大きな変化は観察されず、超音波処理が唾液に与える影響は、あるとしても限定的なものであると結論づけられた。超精密密度分画法におけるメディアの変更、初期暴露密度などを変更させ、どのような条件で「ドリフト」が起こるかを検討した。その結果、初期暴露密度が一部のサブクラスエクソソームの密度ドリフトの原因となっている可能性を支持するデータが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究では、平成30年度の研究で予備的に得られている、初期暴露密度とその暴露時間が特定サブクラスのエクソソームに与える密度変化をさらに詳細に解析し、積極的に特定サブクラスの密度を変化させる条件を明らかにし、このようにしてサブクラス化されるエクソソームの性質と、エクソソーム診断への応用可能性について、調査していく。得られた結果を論文化し、さらに状況に応じて、知財化を進め、新しいエクソソーム診断法へとトランスレートする。
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Research Products
(3 results)