2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the molecular mechanisms of apomixis in plants
Project/Area Number |
17H06256
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高木 優 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (40357348)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 哲 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (60342630)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 胚乳 / 胚 / キメラリプレッサー / アポミクシス / 転写因子 / インプリンティング / リプレッサー / エピジェネティック制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、受精をおこなわずに種子を形成する現象である植物の「アポミクシス(無融合生殖)」の分子機構解明を目指す。シロイヌナズナ転写因子キメラリプレッサーライブラリーのスクリーニングから、受精なしで胚乳発生および胚発生を誘導するキメラリプレッサーラインをそれぞれ複数個同定した。アポミクシス性胚形成を誘導するシステム開発のため下記の2つの方法を進めている。 (1)不定胚誘導因子を用いた胚珠内クローン胚(不定胚)形成 アポミクシスを人為的に誘導する方法として、柑橘類で見られる珠心胚によるアポミクシスをミミックするため、胚珠の母親由来組織に不定胚を誘導し、クローン種子を形成するシステムの開発を進めている。 (2) 受精非依存的にクローン胚を形成するキメラリプレッサーの探索 これまでに単離した未受精で胚発生を誘導する候補遺伝子を卵細胞で発現する遺伝子、RPS5AとDD45のプロモーターで誘導するコンストラクトを作成し、これらを形質転換した。これら形質転換体の次世代において中央細胞のみを受精させ、クローン胚が誘導できるかについて検証を進めている。 胚乳形成誘導については、これまでに単離した受精無しで胚珠発達誘導する5種3グループの遺伝子ENDOSPARM1a (ESP1a), ESP1b, ESP1c, ESP2, ESP3 のキメラリプレッサー(ESPSX)において、胚のみがSingle fertilizationで受粉した場合に、受精非依存的な胚乳が、この受精胚を養育しうるかどうか調べた結果、Pro35S:ESP3SXにおいては球状型から心臓型胚への移行期にあたる三角形胚の発達が確認され、これらの受精非依存的な胚乳は「胚の養育能力を持つ機能的な胚乳」であることが証明された。トランスクリプトーム解析からESP3は、胚発生に必要な栄養供給に関与していることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が順調に進み、成果が出たことによる
|
Strategy for Future Research Activity |
アポミクシスは、これまでに400種類におよぶ植物で見つかっているが、穀物では見つかっていない。母親と全く同じクローン種子を作ることができるアポミクシスを人為的に誘導できればF1ハイブリッド有用形質の固定が可能になるなど、育種革命をもたらすことから植物科学における「聖杯」と称されている。しかし、30年以上におよぶ研究にもかかわらず、アポミクシスを人為的に誘導し得る鍵因子は未だ同定されていない。アポミクシスの分子機構解明のため、31年度は、下記の課題についての研究をおこなう。 (1)アポミクシス性「胚」発生機構の解析:卵母細胞特異的なプロモータを用いて、卵母細胞で発現する転写因子に対するキメラリプレッサー発現体を作成し、母親由来細胞からのクローン胚形成を試みる。 (2)2,母親由来の2n組織において、不定胚を誘導するシステムを確立する (3)アポミクシス性「胚乳」発生機構の解析:キメラリプレッサーが誘導した受精非依存的胚乳発生を誘導する転写因子の機能解析。 (4)2-2, キメラリプレッサーが誘導した受精非依存的胚乳における貯蔵物質の解析
|
Research Products
(7 results)