2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of biological regulation system with artificial peptide
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17H06263
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松下 正之 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30273965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 千秋 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00443664)
早川 朋子 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30420821)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ペプチド / 血液脳関門 / DDS / 腫瘍 / 神経疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究実績として、以下の実験を行った。 1)中枢神経系への人工ペプチドを用いたDrug Delivery System(DDS)の開発を通じて、革新的な診断方法や治療方法の開発を目指した研究を行った。中枢神経系へ高分子を送達するためには、血液脳関門(BBB)を通過するペプチドを開発する必要がる。中枢神経系への治療分子の輸送に臨床的に適用されたものの様々な制限を受けてきたこれまでの送達システムと比較して、膜透過ペプチドによる送達システムは、低毒性ながらも高効率に巨大分子を細胞膜透過させるという優位性を持っている。DDSとして最も困難で重要なBBB通過ペプチド創出のための実験系の確立を行った。 BBB透過性ペプチドの創出には、ファージペプチドライブラリーを尾静脈注射し、脳を摘出することを繰り返すパニングの方法を用いて行う計画であり、ファージ投与量、投与後の脳回収時間などの条件設定を行い実験系を確定した。 2)難治性癌細胞選択的侵入ペプチドの開発 がん細胞に超効率かつ選択的に取り込まれる性質を利用したPET用のペプチドトレーサーの開発や、蛍光ペプチドによる術中転移巣の発見など多様な早期診断技術を創出することが期待される。同時に、癌選択的侵入ペプチドは治療分子を輸送する手段として用いることも可能であり、選択的導入による副作用の軽減、核酸などの高分子導入による革新的治療法の開発も可能です。これらの目的のために、これまで血液系の腫瘍でガン特異的に導入されるペプチドを開発してきたが、固形ガンなどにも応用するために、モデル動物の作成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画である、BBB通過ペプチドや難治性ガン特異的導入ペプチド開発に向けた実験系の確立ができ、順調に進行していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
【血液脳関門通過ペプチドによる脳神経疾患治療】 1)血液脳関門通過ペプチドのファージライブラリーを用いたパニングにより、ペプチド配列を同定する。 2)ペプチド配列より候補ペプチドを蛍光色素と融合し人工合成する。このペプチドをマウス尾静脈より投与し、脳への移行を蛍光実体顕微鏡で観察し、最も脳へ集積が認められるペプチドを決定する。 従来の方法ではBBB通過できなかった高分子を、BBB通過能を有するペプチドに結合し治療効果の検証を行う。変異SOD1過剰発現マウスでは、小胞体ストレスが亢進することが発症の原因であることが明らかとなっている。さらに、この小胞体ストレスは変異SOD1が小胞体内の変性タンパク質を排出する穴を塞ぐことが原因であり、変異SOD1と変性タンパク質排出複合体の構成分子であるDerlin-1の変異SOD1への結合阻害ペプチドも同定されている(Nishitoh et al., Gen & Dev 2008)。これらの知見をもとにペプチドを人工合成し、血行性にこのペプチドを神経細胞に侵入させることにより治療効果を組織病理学的、生化学的、および行動実験で検証する。
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