2018 Fiscal Year Annual Research Report
Exploring a novel perspective in the research of marine organic matter dynamics with a focus on constituents with a high level of proline
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17H06294
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 俊 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 太一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋生命理工学研究開発センター, 研究員 (00402751)
高巣 裕之 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 助教 (00774803)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 海洋 / 有機物 / サブミクロン粒子 / アミノ酸 / プロリン |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度に引き続き、本研究の推進の基礎となる、高プロリン含有成分の分析技術として、高速液体ガスクロマトグラフ法( HPLC法)の検討と分析方法の改良を進めるとともに、以下に示す3サブテーマに沿った研究を進めた。 サブテーマ1(起源の解明):海洋微生物に含まれるさまざまなタンパク質の中に高プロリン含有成分がみられるが、データベースの解析から、高プロリン含有成分のアミノ酸配列、機能、化学特性についての情報の整理をさらに進めた。また、海洋微生物の培養系を用いた予備実験の結果の基づき、高プロリン含有成分の動態を解析する方法論の検討を進めた。 サブテーマ2(分布・動態の解明):海洋では表層から深層へと有機物が沈降するのに伴い、微生物による有機物分解が進行するため、海水中の有機物の中で高プロリン含有成分が占める割合は、海洋の深度とともに変化することが予測される。この仮説を検証するために、データベースの解析から海洋でのプロリン分布の特性を調べるとともに、研究船航海において試料の採取を行い、プロリン含有成分の分布についての情報収集を進めた。 サブテーマ3(機能の解明):プロリンは環状イミドという独特な化学構造を持つアミノ酸分子種であるため、高プロリン含有成分は、海洋環境中において高分子化合物間の相互作用に強い影響を及ぼす可能性がある。そこで、高プロリン含有アミノ酸配列を持ったペプチドを合成し、それを海水中に添加することで、高プロリン含有成分が粒子動態に及ぼす影響を調べるための実験手法の検討をさらに進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の推進のうえで重要な基盤となる分析システムの改良を行うことができた。また、学術研究船「新青丸」等を利用した、三陸海域でのサンプル収集と環境パラメータの解析を進めることができたため、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に改良を進めた分析システムを用い、環境中でのプロリンの分布についての情報を得るとともに、分布特性と環境因子との関連の解析を進める。また、プロリン含有成分の蓄積と分解に関する基礎的な知見をさらに蓄積し、成果の統合化を進める予定である。
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