2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of noncondensable gas on passive cooling systems in Fukushima Daiichi and advanced reactors
Project/Area Number |
17H06483
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 泰功 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10800906)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 非常用復水器 / 凝縮熱伝達 / 高圧実験 / 非凝縮性ガス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、福島第一原子力発電所1号機や先進的な原子炉設計にも採用されている静的な冷却設備である非常用復水器(IC)の事故時の冷却性能を明らかにすることを目的としている。事故時にICを起動させることを想定すると、炉心から発生する水素の影響が問題となる。本研究では、水素ガスの発生を模擬するためにヘリウムガスを蒸気に混合させた条件での実験を予定している。しかし、段階的に実験準備・評価を進めていく必要があるため、今年度は非凝縮性ガスの注入を行わず、蒸気を使用したICの模擬実験を行うための環境の整備と高圧条件下での実験データの取得・分析を行った。 まず、ICの冷却用水槽を新たに製作する等、実験を実施するための環境整備を行った。本研究で使用する実験体系では、高所に設置されたICを模擬した試験部に対してアキュムレータから高圧蒸気を供給し、実機のICと同様に自然循環流による継続的な冷却が行われる。約1MPa~6MPaの範囲でアキュムレータの初期圧力を設定し、実験体系で自然循環流による継続的な冷却が行われることを確認した。また、蒸気流量、管内温度、管外壁面温度、圧力等を測定し、高圧条件下におけるICの冷却性能を評価するための実験データを取得した。さらに、二相流解析コードであるTRAC-BF1を用いた実験解析を実施し、実験で測定した伝熱管内の温度分布と比較を行った。実験データと解析結果の比較から、高圧条件下の実験データを再現可能な伝熱モデル等について検討して行く。 また、次年度実施を予定しているヘリウムの注入試験に向けて追設配管の設置などの準備に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた蒸気を用いたICの模擬実験において、最大6MPa程度の高圧条件下においても実験データを取得可能であることが確認できた。また、初期圧力をパラメータとして蒸気流量、管内温度、圧力等の時系列データを取得することができた。 解析では、二流体モデルの解析コードを用いて実験体系を模擬した体系での評価を行った。伝熱モデル等の感度解析を進め、実験で得られた知見を実機規模の解析に反映できるようにするための検討を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
高圧蒸気を用いたICの模擬実験で、ヒーターの出力と除熱量をバランスさせた条件で準定常状態の実験データを取得し、実験解析との比較・分析を行う。 また、ヘリウムを注入した条件で実験を行うために流量測定などの計測を含めた実験準備を行う。整備した実験装置を用いてヘリウム注入量をパラメータとしたICの除熱特性のデータを取得し、非凝縮性ガスの影響について評価する。また、二相流解析において、伝熱モデル等の感度解析を行うことで、高圧条件での実験データを再現可能なモデルの検討を行う。
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