2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of photodynamic therapy using tumor-specific small-sized nanoparticle for thoracic malignancy
Project/Area Number |
17H06489
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 達哉 北海道大学, 大学病院, 講師 (20624232)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 肺癌 / 悪性胸膜中皮腫 / 光線力学的療法 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は北海道大学薬学研究院薬剤分子設計学教室の協力を得て,本研究の核となるレザフィリン(NPe6 )を含有した新規ナノ粒子の開発を行った.まず,完成した新規ナノ粒子を北海道大学工学研究院超高圧電子顕微鏡研究室の協力を得て電子顕微鏡にて微細構造を観察していただいた. 次に,当研究室において肺癌細胞株(A549),悪性胸膜中皮腫細胞株(H2052,H2452,H28,H226,211H)を用いて新規ナノ粒子のがん細胞への集積の検討を行った.Flow cytometryを用いた解析では,各細胞株にNPe6単独群とナノパーティクル封入NPe6 群(以後Nano-NPe6群)を0.3, 1.0μg/mlの濃度で導入し,2時間のincubateの後にそれぞれの細胞への集積を検討した.いずれの細胞においてもNPe6単独群では非投与群と比較してほとんど波形に変化を認めなかったが、Nano-NPe6群では著明な右方移動を示し,NPe6をナノ粒子へ封入したことにより、がん細胞内への取り込みが優位に亢進していることが示された.さらに蛍光顕微鏡を用いて細胞内への集積の確認を行った.いずれの細胞株においてもNPe6単独群では細胞質内にはほとんど蛍光を観察できなかったが,Nano-NPe6群では細胞質への著明な蛍光の取り込みを確認することができた. 以上より,NPe6をナノ粒子へ封入することによって予想通り細胞内へのuptakeが著しく亢進していた。本結果は今後の実験計画として予定しているレーザー照射による治療効果検討において著明な殺細胞効果の増強が大いに期待されるものであると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本実験に不可欠であるナノ粒子作製が、共同研究先である北海道大学薬学研究院の担当者が急遽他大学へ移動になったことより4か月実験が遅れたが、後任の方の協力でその開発に成功した。しかし、本ナノ粒子を用いて細胞株を用いた実験を施行する予定であったが、2018年9月北海道胆振東部地震によりストックしていた細胞も全滅してしまったことより4か月計画が遅延した。したがって当初の計画より計8ケ月計画が遅延している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の展望として同細胞株にNano-NPe6群とNPe6単独群を導入し,その後レーザー照射を施行し,MTS assayを用いてがん細胞に対する殺細胞効果を検討する.その後にヌードマウスを用いた肺癌,悪性胸膜中皮腫の皮下腫瘍モデルを用いて尾静脈より経静脈的にNPe6単独とNano-NPe6を全身投与し,Nano-NPe6群の優位性を示す仮説の元,腫瘍病変をin vivo蛍光システムを用いてその診断能を評価する.さらに最終目標としてマウス皮下腫瘍にNano-NPe6を投与後,レーザー照射を行い抗腫瘍効果をそ検討する予定である.
|