2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical analysis of innovation strategies towards the realization of a self-sufficient hydrogen society in regional areas
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17H06505
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 水素 / 燃料電池 / 地方の活性化 / 再生可能エネルギー / エネルギー転換 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は、主に4大都市圏を中心に水素ステーションなどといったインフラを整え、燃料電池自動車(FCV)およびエネファームなど、既存の水素関連技術の大幅な導入を図っており、安価かつ大量の水素を製造するために海外の未利用の化石燃料資源由来の水素のサプライチェーンの実現化に向けた実証事業が始まろうとしている。一方、地方では、FCVやエネファームの普及のために必要な条件(人口密集地や都市ガス網羅の整備等)は必ずしも揃っていないが、多くの再生可能エネルギーの資源は豊富にあるため、それを活用して水素を製造する上で大きな可能性を持っている。しかし、再生可能エネルギー由来の水素は、具体的に如何にして製造・利活用すれば経済的、環境的に合理的な社会技術的システムおよびビジネスモデルを構築することが可能なのかは、非常に大きな課題である。
そこで本研究では、福岡県、福島県、北海道を対象として、日本の地方における水素社会の実現に向けた取り組み(つまり政策、制度設計、実証事業)に着目し、如何にしてその地域の資源とニーズと組み合わせて地産地消型のグリーン水素システムの構築が可能なのかについて社会科学的観点から検討を行った。その結果、下水汚泥、風力、太陽光などを活用した水素製造の特徴および導入拡大に伴う課題について、文献調査を行いつつ、全国的にあらゆる研究機関、地方自治体、企業、実証事業を対象としたインタビュー調査を実施し、データを収集して整理した。結果、日本の水素社会の実現に向けた地方の取り組みに関して、政策、技術、経済などといったあらゆる側面より俯瞰的な知見を得ることができ、更に詳細な分析を行うための基盤の整理ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的は、主に水素社会の実現に向けた日本の地方における動きに関する俯瞰的な理解を深めることだったが、九州、福島県、北海道を中心にして文献調査と共に現地訪問およびインタビュー調査を予定通り行うことができた。よって、今年度の目的は概ね達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は、インタビュー調査と文献調査を継続しつつ、これまでの研究の成果を取りまとめて国際学会と海外の学術ジャーナルにて発表を行っていく予定である。
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