2017 Fiscal Year Annual Research Report
電流注入により室温発振するZnOポラリトンレーザの創製
Project/Area Number |
17H06514
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶋 紘平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40805173)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化亜鉛 / 分布ブラッグ反射鏡 / 微小共振器 / 励起子ポラリトン / ヘリコン波励起プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,励起子と光子の連成波(励起子ポラリトン)を微小共振器モードと強結合させることによりコヒーレント光を得るポラリトンレーザを実現することである.活性層の材料として,励起子束縛エネルギーが大きく励起子ポラリトンが室温でも安定して存在できるZnOを用いることにより,室温で動作するポラリトンレーザを実現できる可能性がある.そのために,室温において励起子および光子の挙動を妨げない高品質な微小共振器構造を形成する必要がある.さらに,電流注入により動作させるためには,微小共振器中にpn接合を形成する必要がある. 初年度においては,中心波長366 nm(ZnOのB励起子)の光を高効率に閉じ込めるために,反射率が高くストップバンド幅が広い誘電体分布ブラッグ反射鏡(DBR)の作製に取り組んだ.独自の製膜手法であるヘリコン波励起プラズマスパッタ法により,屈折率が高く平滑な誘電体膜(SiO2およびZrO2)を製膜した.その結果,高い反射率(>99%)および広いストップバンド幅(90 nm)を有するSiO2/ZrO2-DBR(11ペア)を形成した.一方で,さらなる反射率向上に向けて,ZrO2による光吸収損失を抑える必要があることを見出した.そこで,ZrO2と同程度の高い屈折率を有し吸収端波長がより短いHfO2に着目し,その製膜条件を確立した.さらに,高品質なZnO活性層の形成に向けて,加工プロセスによりZnO中に導入される格子欠陥や不純物が励起子の寿命に与える影響を評価するために,時間分解フォトルミネッセンスによる室温での発光寿命評価に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた,ZnO活性層を誘電体DBRで挟み込んだ微小共振器構造を用いて光励起によりポラリトンレーザの室温発振を観測するところまでは至らなかった.一方で,新たに見つかった課題であるZrO2による光吸収損失の対策として、当初予定していなかったHfO2製膜の検討まで行い、解決できる見通しを得た。このことから,当初の計画に対してはやや遅れていると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては,現在検討を進めているZnO活性層の形成手法を確立させる.さらに,p型半導体の製膜に着手し,これまで実績があるn型半導体の製膜と組み合わせて,ZnOポラリトンレーザとしては初のpn接合形成を行う.最終的に,電流注入により室温でのポラリトンレーザ発振を達成する.
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Research Products
(2 results)