2017 Fiscal Year Annual Research Report
新生鎖の翻訳伸長反応に伴うジスルフィド結合形成機構の解明
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17H06521
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金村 進吾 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教育研究支援者 (50803178)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 無細胞タンパク質合成系 / セミインタクト細胞 / PDIファミリー / ジスルフィド結合 / 新生鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生鎖のジスルフィド結合形成過程のモニタリングシステムの開発・改良及び、上記システムを用いた新生鎖のジスルフィド結合形成機構の解明を目指した。このシステムに関して、小胞体内腔への新生鎖の発現に成功しているものの劇的な発現量の向上は見られなかったが、新生鎖の解析を進めた。まず初めに、α-へリックスリッチで比較的単純な構造をとり三つのジスルフィド結合を持つpreprolactin (PPL)を選定した。様々な長さのPPLのmRNAを作製し、セミインタクト細胞の小胞体内に発現させ、翻訳合成途上のPPL新生鎖の解析をSDS-PAGEにより行った。その結果、PPL新生鎖の小胞体膜通過に伴うシグナルペプチドの切断や小胞体内腔での糖鎖付加反応を検出することができた。すなわち、PPL新生鎖の小胞体内腔への挿入に成功した。そこで還元および非還元SDS-PAGEでPPL新生鎖内のジスルフィド結合形成の有無を調べたが、バンドの変化はなく、PPL新生鎖内のジスルフィド結合形成は観測されなかった。さらに、PPL新生鎖の立体構造の安定性を評価するためサーモリシン耐性を調べたが、いずれの長さの新生鎖も速やかな分解を受けたことから、PPL新生鎖は高次の立体構造を形成していないと考えられる。一方で、RNase AによってリボソームからPPLを解離させると、PPL内にジスルフィド結合が形成することがわかった。したがって、PPLの場合、小胞体内腔において翻訳伸長反応中ではなく、翻訳後にリボソームから解離することでジスルフィド結合が導入されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジスルフィド結合形成過程のモニタリングシステムを開発・利用することで、新生鎖(PPL)のジスルフィド結合形成機構を明らかにすることができ、その成果を国内学会にて発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基質の普遍性を調べるため、大きさやジスルフィド結合の数が異なる基質を選定し、解析を行う。また、PDIファミリーの過剰発現やノックダウンなどによる影響を調べ、安定な新生鎖とPDIファミリーとの複合体が観察できた場合、構造解析を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)