2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of radioresistance mechanisms in cancer cells focusing on ATM and DNA-PKcs under hypoxic conditions
Project/Area Number |
17H06528
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 拓磨 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50799145)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 放射線抵抗性 / 低酸素 / ATM / DNA-PKcs |
Outline of Annual Research Achievements |
癌の低酸素細胞の放射線抵抗性は、酸素存在下でのラジカル反応だけでは説明がつかないため、生物学的要因が示唆されているが、低酸素における放射線抵抗性を制御する分子機序は明らかになっていない。本研究課題では、低酸素性癌細胞における放射線抵抗性の原因の解明を目的として、低酸素状態がDNA2重鎖切断修復酵素に及ぼす影響およびそれら酵素の制御機構について解析を進めた。 SV40でtransformされたヒト線維芽細胞LM217およびLM205、胎児由来の正常ヒト線維芽細胞NHDFを低酸素処理し、ATM、DNA-PKcs、生存シグナルであるAktの発現量および活性に関与する部位のリン酸化への影響を検討した。その結果、低酸素状態においてATM、DNA-PKcs、Aktの発現および活性が亢進した。また、Aktの活性化は、細胞膜や細胞質を起源とする情報伝達経路の活性化を示唆するため、細胞膜やその近傍に位置するタンパク質の発現と活性に及ぼす影響について検討したところ、低酸素状態において、Src、Caveolin-1、EGFR、PDK1、AMPKαの発現および活性が亢進した。一方、mTORの発現および活性は抑制された。Srcファミリー特異的な阻害剤であるPP2を添加したところ、低酸素状態においてATM、DNA-PKcs、Caveolin-1、EGFR、PDK1、Aktの活性は抑制された。低酸素状態はATMやDNA-PKcsの発現および活性を亢進させ、それら酵素の活性化はSrcやAMPKαを介したシグナル伝達経路に依存していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の主要な対象であるDNA修復酵素ATMおよびDNA-PKcsについて、複数の細胞株で低酸素状態がこれら酵素の発現や活性化に影響を及ぼすこと、さらに、これら酵素の活性化がSrcやAMPKαを介したシグナル伝達経路に依存していることを示唆することができたのは重要な進展であると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から、ATM、DNA-PKcsの活性化の分子機構がSrcやAMPKαシグナル伝達経路を介していることが示唆された。阻害剤は非特異的効果の存在が考えられるため、siRNAによるノックダウン実験を行い、同様の影響がみられるかを検討する。 また、ATM、DNA-PKcsの活性化の分子機構が、低酸素状態における細胞の放射線抵抗性に関与している可能性が考えられるため、ATM、DNA-PKcs、SrcおよびAMPKαをターゲットとした阻害剤やsiRNAを用いて、低酸素状態における細胞の放射線抵抗性とATM、DNA-PKcsの関与について検討する。
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Research Products
(2 results)