2017 Fiscal Year Annual Research Report
精子エイジングにおける次世代継承のエピジェネティクス
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17H06529
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 記緒 東北大学, 医学系研究科, 産学官連携研究員 (10803885)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | ヒト精子 / DNAメチル化 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1.ヒト加齢精子が、自閉症を含む精神・神経疾患に関連する領域にどの程度エピゲノム変化を示すのか正確に評価すること 2.加齢に伴う精子のエピゲノム変化と次世代個体の自閉症様症状との関連を明らかにすることを目的とする。平成30年度は、まず大学倫理審査の承認を得て研究を開始した。次に、患者精子の収集と登録を行った。東北大学医学部産婦人科不妊外来及び不妊症専門関連病院を受診し、精液検査を受けた患者の精子(197例の精子)を収集した。精子は、精液検査後の破棄予定の精子を用いた。さらに、患者情報の登録を行った。生活習慣等に関する記述式アンケート調査では、身長、体重、職業、既往歴、年収、学歴、喫煙率、常用薬など50項目を実施し、食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いた食品項目の摂取頻度調査も実施した。精子形態検査は、WHOマニュアル第3版より分類し(正常群132例(>20×106/ml)、乏精子症群65例)、swim-up法にて精子細胞のみを回収し、DNAを抽出した。精子のDNAメチル化解析は、RRBS法にて網羅的なメチル化解析を行った。メチル化解析の結果は、5 reads以上カバーされた1,033,310 CpGサイトについて検討した。その結果、1.クラスター解析では、乏精子群の一部にクラスターの形成がみられた 2.乏精子症では多数のインプリント遺伝子のメチル化異常を示した 3.ゲノム領域ではプロモーター領域でメチル化の違いを認め、CpG領域はCpG islandでメチル化異常に有意差を認めた(PC 0.01) 4.一部の繰り返し配列(SINE, LTR)に有意差を認めた。これらの結果より、精子数の少ない乏精子症精子では、メチル化異常の頻度および程度が大きいことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では特定の領域のメチル化解析を予定していたが、全ゲノムを対象としたRRBS解析を行った。それは、一部の領域のメチル化との比較では正確な評価が難しく、全体の傾向を理解する必要があると考え、その結果、加齢により増加する乏精子症の特徴を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の計画を継続し、ヒト精子のエピゲノム変異について解析を行う。症例対照研究の手法を用い、ヒト加齢精子の自閉症を含む精神・神経疾患に関連する遺伝子のエピゲノム変化について評価する。40歳以上の男性(精子)を症例群とし、ターゲットとなる遺伝子プロモーターのDNAメチル化解析を行う。また、自閉症を含む精神・神経疾患と加齢精子との関連性評価には、比例ハザードモデルにより解析し、ハザード比を算出する。その際、栄養素、喫煙、飲酒などの交絡要因を加味し、より確実に検証する。ヒトおよびマウスでメチル化異常を示す領域が異なり、マウスを用いた検討よりヒト精子の解析を優先させ準備を進める。
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