2017 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍性タンパク質Skp2の量的制御を司る幹細胞腫瘍化抑制機構の包括的解析
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17H06531
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 康平 東北大学, 歯学研究科, 助教 (70727073)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | Skp2 / タンパク質分解 / 幹細胞 / 腫瘍化 / 再生医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
様々ながん組織において過剰発現を認め、幹細胞腫瘍化への寄与が示唆される腫瘍性タンパク質Skp2に関して、そのユビキチン-プロテアソーム系による量的制御を担うと考えられる上流のRING型E3ユビキチンリガーゼ(RING#BI)を同定し、RING#BI によるSkp2分解の腫瘍化抑制における役割について解析してきた。まず、RING#BIによるSkp2のユビキチン化に関する分子制御機構を明らかにするため、Skp2に対するRING#BIの結合領域の同定を試みた。欠失変異体を用いた解析より、RING#BIはSkp2のN末端領域で結合し、Skp2のユビキチン化・分解に必須の領域であることが明らかとなった。また、Skp2の既知上流E3として知られるCdh1はSkp2のD-boxを介してユビキチン化することが報告されているが、本課題においてRING#BIによるSkp2のユビキチン化にD-boxは不要であることが明らかとなった。この知見をもとに、RING#BIに特異的なSkp2の時間・空間的制御について検討を進めている。さらに、Skp2がRING#BIの生理的な基質であることを証明するにあたり、CRISPR-Cas9システムを用いてRING#BIのノックアウト細胞株を樹立し、Skp2及びSkp2の基質の発現量を検証した。その結果、RING#BIノックアウト細胞においてSkp2の発現量は上昇し、それに伴いSkp2基質の発現量が低下することを確認した。また、RING#BIノックアウト細胞は、DNAダメージによるアポトーシス誘導に抵抗性を示し、さらに、細胞増殖の促進が認められることから、細胞レベルにおいてRING#BIの腫瘍化抑制因子としての機能を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Skp2の基質特性を考慮した多角的な解析から、アポトーシス抵抗性及び細胞増殖に関して、RING#BIの腫瘍化抑制因子としての機能を細胞レベルで示すことができ、in vivo解析に展開するための準備が整いつつある。また、RING#BIによるSkp2の量的制御に関して、既知上流E3との制御機構に差異を見出すことができた。以上より、初年度の重点課題は概ね達成できたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA損傷に伴うSkp2のユビキチン化依存的分解が報告されていることから、RING#BIがDNA損傷時のSkp2の分解に関与するか検証した結果、本研究における実験条件ではDNA損傷に伴うSkp2の分解は認められず、既報に反して継時的な発現量の上昇が確認された。しかしながら、DNA損傷に伴うSkp2の発現量上昇は、RING#BIにより制御されている可能性を示す結果が得られたことから、DNA損傷応答におけるRING#BIのがん抑制因子としての機能解析を進める。得られた知見をもとに、RING#BI-Skp2経路が関与する幹細胞腫瘍化の分子メカニズムの解明を目指す。さらに、RING#BIによるSkp2の分解を介した腫瘍化抑制機能をin vivoレベルで実証し、幹細胞腫瘍化制御に向けた検討を行う。
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Research Products
(6 results)