2017 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞分泌エクソソームmicroRNAによる高脂肪食摂取下の前立腺癌増殖制御
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17H06535
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
奈良 健平 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (00801888)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / microRNA / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高脂肪食摂取および肥満が前立腺癌増殖進展にいかに関わるか?またその分子生物学的機序に体脂肪から分泌されるエクソソームおよびそれに内包されるmiRNAsが関与するかどうか?を検討する研究である。本研究には高脂肪食摂取下の肥満および前立腺癌増殖マウスモデルが必要であるが、より明確な差を確認するための最良なマウスモデルを確立する点から開始した。はじめ文献を参考にC57BL6にTRAMP-C1の皮下移植し増殖検討を試みたが、正所性モデルでないこと、また前立腺癌に特徴的な内分泌依存性のないモデルであること,食餌による癌増殖の差がつきにくいことからより最適なモデル検討に立ち戻り研究を進めた。食餌に関して、カロリーの60%の高脂肪食(HFD60)、カロリーの45%魚油中心の高脂肪食、カロリーの45%動物脂肪中心の高脂肪食、そのコントロールとしてAIN-93Mを用いて、検討を行った。また前立腺癌マウスモデルとしては正所性モデルである前立腺特異遺伝子改変マウスであるPTENKOマウスを用いた。これらモデルの前立腺癌発症、進展の状況、肥満の評価を行い最適なモデル確立を試みた。下記に論じるように上記モデル検討で高脂肪食摂取下肥満前立腺癌増殖マウスモデル候補の検討が終了し、同解析時に採取した血液、組織、前立腺など蓄積しているため来年度以降、エクソソームやmiRNAsを標的にした解析が可能となると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前立腺特異PTENKOマウスにおいて、カロリーの45%魚油中心の高脂肪食と動物脂肪中心の高脂肪食を比較すると動物脂肪群で有意に体重が増加し、CTでの体脂肪が有意に増加した。また同時に前立腺重量も動物脂肪群で高い傾向であった。病理学的にも現在PINおよび浸潤を有する前立腺癌の領域のスコアリングを行っているが特に動物脂肪群で分化度の低い癌が増えている印象であった。またHFD60は上記二つの食餌よりさらに体重が増えることが確認され、コントロール食であるAIN-93Mはもっとも体重が低かった。前立腺重量に関してはカロリーの45%魚油中心の高脂肪食が最も低かった。また倫理委員会の承認の元別研究で採取されたヒト脂肪組織を培養し、超遠心法でエクソソームの抽出を行った。ナノサイトで小胞サイズを確認し、電子顕微鏡でその存在を確認した。またタンパクを抽出しエクソソームマーカーであるCD63発現を確認した。左記より脂肪組織からのエクソソーム抽出が当科で可能であることを確認している。またカロリーの60%の高脂肪食(HFD60)、カロリーの45%魚油中心の高脂肪食、カロリーの45%動物脂肪中心の高脂肪食、そのコントロールとしてAIN-93Mで飼育した前立腺特異PTENKOマウスをそれぞれ、5,10,10,5匹ずつ28週まで飼育し、とさつ時に体脂肪、前立腺、血液の採取を終了し、検体を保存している。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満度を各食餌群で体重およびCTによる体脂肪率から比較検討する。また上記で採取した前立腺のHE染色および免疫染色による病理評価をおこない、PINおよび癌の発生率を比較検討する。また体脂肪を保存しているのでマウス体脂肪からエクソソームを抽出し、まず上記ヒト脂肪検体でおこなったエクソソーム抽出確認(ナノサイト、電子顕微鏡、CD63発現)をマウスの脂肪組織でも可能か確認する。エクソソーム抽出が確認できたらRNAを抽出し、miRCURY microRNA array(exiqon社)による網羅的miRNA発現解析を受託で依頼し、関連miRNAsの絞り込みを行う。候補miRNAsが同定されたら定量PCRやin situ hybridizationでvalidationを行う。その後関連miRNAを阻害及び高発現させたエクソソームが前立腺癌細胞株(ヒト、PTENマウスからの初代培養細胞株)の機能にどのような影響を与えるかを検討する予定である。より適格なマウスモデルの検討に時間を要したが研究は徐々に進んでおり、目的としていたエクソソームやmiRNAs解析への計画も見通しが出てきたところである。
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