2017 Fiscal Year Annual Research Report
The dynamism of the Jesuit humanistic tradition in 20th century - in terms of B.Lonergan's ethical and educational thoughts-
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17H06542
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島村 絵里子 筑波大学, 人文社会系, 研究員 (70802198)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | イエズス会 / 人文主義教育 / キリスト教 / 倫理思想 / 歴史哲学 / 認識論 / 神学 / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、20世紀の代表的なイエズス会神学者、哲学者の一人であるバーナー・ロナガンの思想の倫理思想・教育思想の検証の基礎となる「認識論」の展開可能性について以下の三つの点から検証した。 a)ロナガンの認識論に内包される「倫理思想」と「教育思想」の特徴を明確する為に、主著であるInsightとMethod in Theologyの翻訳と分析を行った。加えてロナガンの認識論における倫理思想の発展可能性について論じている先行研究の収集と分析を行った。 b)a)での取り組みを土台として、1)認識者としてのあり方を問う三つの問い:「私は認識している時に何をしているのか(認知理論)」、「なぜそれらの行為をすることが認識なのか(認識の客観性)」、「それらの行為をなす時、私は何を知るのか(形而上学)」と、パラレルな形で措定されている人間の行為者としてのあり方を問う問い、つまり「私が倫理的である時、何をしているのか」,「なぜそれらの行為をすることが倫理的なのか」,「倫理的であることによって何がもたらされるのか」という三つの問いの有意性について検証した。2)さらに「Emergent probability(創発的蓋然性」という自然科学的概念を基にしたロナガン固有の進化論的な世界観・歴史観の倫理への応用可能性について考察した。 c)イエズス会の霊性史の中でのロナガンの思想の位置づけを探る為の下準備に取り組んだ。その最初の手掛かりとして、日本人イエズス会であり哲学者である門脇佳吉が展開した禅仏教とキリスト教との対話の姿勢をロナガンの認識論に照らし合わせて検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に明示した研究計画に基づき、以下の三つ研究項目、1)認識者としてのあり方を問う三つの問いとパラレルな形で措定されている人間の行為者としてのあり方を問う問いについて、2)「Emergent probability(創発的蓋然性」の内にみられる倫理思想の萌芽について、3)20世紀のイエズス会霊性について、それぞれ学会等で口頭発表を行い、次年度の研究のための下準備を行うことが出来た為。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した研究項目に沿って文献・資料の分析・研究を継続し、その結果を学会・研究会等で発表していくが、その一部を博士論文としてまとめ提出する予定である。また特に北米を中心とした高等教育の中で、ロナガンの思想に感化された教育者の動向(実践的取組と文書)を調査し、ロナガンの思想の最新の現代的解釈を探る予定である。
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Research Products
(3 results)