2017 Fiscal Year Annual Research Report
宿主遺伝子変異がもたらす腸内環境変動の横断的・定量的評価
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17H06549
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
重盛 駿 筑波大学, 医学医療系, 助教 (90803487)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 腸内生態系 / 遺伝子改変マウス / メタゲノミクス / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト腸管には多彩で膨大な数の細菌が生息しており、これらは宿主生理機構と密接に相互作用することで、ユニークな生態系“腸内エコシステム”を形成している。近年、腸内エコシステムの破綻はいくつかの宿主遺伝子変異に関連していることが示唆されているものの、その全容は未だ明らかでない。そこで本研究では、多種の遺伝子改変マウスを宿主遺伝子変異モデルとし、同一条件下において飼育したマウスの糞便細菌叢や代謝物質の組成をオミクスアプローチにより網羅的に解析することで、宿主遺伝子変異が腸内エコシステムに与える影響を横断的かつ定量的に評価することを目的とした。 本年度は、解析対象とするマウス(10種:野生型マウス1種, 遺伝子改変マウス9種、計121匹)を選抜した。宿主標的遺伝子の変異が腸内エコシステムに与える影響を厳密に評価・比較するために、条件(同一施設内で自然分娩した、同一施設内の特定病原体除去環境下において維持されている、同じ餌および水を摂取している、選抜するマウスの遺伝的バックグラウンドが同一である)を基にマウスを選抜することで、環境や標的遺伝子以外の遺伝的要因といった評価対象外の腸内環境変動因子の標準化を試みた。マウスの種類や性別、飼育室・飼育ケージ等に基づきマウスを26群(n = 3~8)に分け、新鮮便を採取した。採取した糞便を用いて16Sメタゲノム解析やメタボローム解析を実施するためにサンプルの調製に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、解析対象とするマウスの選抜および糞便サンプルの採取を完了しオミクス解析用サンプルの調製に着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
引続きオミクス解析用サンプルの調製を行う。次世代シーケンサーを用いて16Sメタゲノム解析を実施し、糞便中細菌叢の細菌数を推定するとともに菌種組成やその構造を見積もる。また、キャピラリー電気泳動ー飛行時間型質量分析計を用いてメタボローム解析を実施する。得られたメタデータと宿主遺伝子変異情報を統合し、多変量解析手法を用いて統計解析することで各群間を横断的に比較し、宿主遺伝子変異が腸内エコシステムの状態および機能に与える影響を検討する。
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