2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of mechanical stress-induced dermatitis
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17H06550
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 貴之 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (10804726)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | Myd88 / テープストリッピング / DAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
Myd88をシグナル伝達分子として用いるDAMPsであるHMGB-1, IL-1α,IL-33のうちどのDAMPsがどの程度テープストリッピング後のIl1β,Cxcl1の発現上昇に関与するかを明らかとするために,新生児から単離し培養した表皮にHMGB-1, IL-1α,IL-33を添加後にIl1β,Cxcl1のmRNAの発現を測定した。その結果、HMGB-1、IL-1αの添加ではIl1β,Cxcl1のmRNAの発現が有意に増加したが,IL-33の添加ではこれらのサイトカイン,ケモカインの上昇は認めなかった。またHMGB-1とIL-1αの添加によるIl1β,Cxcl1のmRNAの発現上昇の程度に顕著な差はみられなかった。さらにマウスの背部に,HMGB-1, IL-1α,IL-33を皮内注し4時間後の表皮のIl1β,Cxcl1のmRNAの発現を検討したところ,in vtroの添加実験の結果と同様にHMGB-1,IL-1αはIl1β,Cxcl1のmRNAを有意に増加させたが,IL-33による皮内注ではこれらのサイトカイン,ケモカインの発現量に変化はみられなかった。また,同様にHMGB-1とIL-1αの皮内注によるIl1β,Cxcl1のmRNAの発現上昇の程度に顕著な差はみられなかった。以上から,Myd88をシグナル伝達分子として用いるDAMPsであるHMGB-1, IL-1α,IL-33のうち主にHMGB-1とIL-1αがテープストリッピング後のIl1β,Cxcl1の発現上昇に関与すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HMGB-1, IL-1α,IL-33による添加または塗布による表皮のIl1β,Cxcl1の発現上昇を検討したが、in vitro, in vivoで同様の結果が得られた。そのため、今後はHMGB-1,IL-1αに関して中和抗体や遺伝子改変マウスを用いることで、それらの分子のメカニカルストレスに対する制御に関して着目していけるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
表皮内にはケラチノサイトの他,ランゲルハンス細胞,γδT細胞,αβT細胞などの免疫細胞も存在する。そこでテープストリッピング後の表皮Il1β,Cxcl1の発現上昇におけるこれら各細胞の役割を解明するため,テープストリッピング前後の表皮からケラチノサイト,ランゲルハンス細胞,γδ T細胞,αβT細胞をフローサイトメトリー法を用いてそれぞれ単離してmRNAを測定する。さらにそれぞれランゲルハンス細胞,γδT細胞およびT細胞すべてを欠如するLangerin DTAマウス,γδ TCR欠損マウスおよびRag1欠損マウスを用いてテープストリッピング後の表皮Il1β,Cxcl1の発現上昇を検証する。またメカニカルストレスで誘導されるDAMPsの放出とそれに引き続くIl1β,Cxcl1の産生が各皮膚疾患に与える影響を明らかとするため、TLR4欠損マウス、IL-1受容体欠損マウスに対して,メカニカルストレスによる皮膚炎モデルを誘導した際の重症度を検証する。またハプテンを用いた接触皮膚炎モデル,およびTLR7のリガンドであるイミキモドを用いた乾癬モデルおよびそれらのモデルにテープストリッピングを加えた場合の皮膚炎の重症度も検証する。ロリクリン欠損マウスはメカニカルストレスに関して感受性が高いとされる。そこで,TLR4欠損マウスやIL-1受容体欠損マウスとロリクリン欠損マウスをかけ合わせ両欠損マウスを作成し,同様に各皮膚炎を誘導した際の重症度を検証することによって,メカニカルストレスにより放出されるDAMPsの各皮膚炎における関与を明らかにする。
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