2017 Fiscal Year Annual Research Report
Configuration of the partial REBOA intensity and validation of the occlusion tolerance using CT perfusion analysis
Project/Area Number |
17H06567
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松村 洋輔 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00466707)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | REBOA / Partial REBOA intensity / CT perfusion |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性出血性ショックに対する低侵襲な大動脈遮断術であるResuscitative endovascular balloon occlusion of the aorta (REBOA)の管理において,完全遮断に比較してバルーン部分遮断(Partial REBOA)は臓器障害を軽減させうる.しかしPartial REBOA中の臓器灌流の程度はこれまで明らかでないため,造影CT perfusion画像解析の手法を用い,臓器灌流に基づくpartial REBOA intensityを検証する研究を遂行中である. 40kg程度のサイズのブタにCT室でREBOAカテーテルを留置・固定を行い,バルーン注入量を段階的に増加させた.遠位動脈圧の脈圧が完全消失することを以てREBOAの完全遮断と定義し,最大注入容量まで20%ごとに注入容量を増加させることで段階的なPartial REBOAを施行した.注入量ごとに,近位および遠位動脈圧,遮断部近位および遠位の平均動脈圧(内頚動脈および大腿動脈)の比 (femoral/carotid ratio, F/C比),フロートラックセンサーによる大腿動脈の動脈圧心拍出量(バルーン遠位の血流量モニター),バルーン内圧を記録し,臨床測定可能なバルーン遮断程度のパラメーターを収集した.さらに乳酸値,尿量などを記録した.さらに注入量ごとに造影CT perfusionの撮影を行い,関心領域(Region of Interest, ROI)を大動脈,下大静脈,門脈,右肝静脈,肝実質,上腸間膜静脈に設定してTime-density curve (造影剤注入後の時間経過とその部位の濃度上昇のプロット)を描写した.非遮断時に比較して造影時の濃度上昇ピーク(Peak)およびピークまでの時間(Time to Peak)を算出することで,臓器潅流を評価した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スタートアップ支援の研究費であるため,初年度研究期間は実質的に承認後半年と短期間であった.実験機関は事前に内諾を得ていたため,自治医科大学先進医療開発センター(CDAMTec)での動物倫理講習や研究計画の申請,実験準備,機材準備などを可及的速やかに行った.また,体外での実験系としてバルーン注入量とバルーン内圧の測定(バルーン自体のコンプライアンスによる内圧変化および模擬血管壁と接触することによる圧変化)を行った.さらにCDAMTecにおいて動物実験を開始し,平成29年度内に検証実験をおえ,本実験を開始した. 研究計画は動物の麻酔および外科手術(外科医・麻酔科医・獣医師),造影CT perfusion撮影とその解析(放射線科医・診療放射線技師)など幅広い専門領域の協力が不可欠であった.研究計画を円滑に具現化すべく実験機関や事前遠隔会議を繰り返して,実験計画を綿密にたてた.本実験開始前に検証実験を行うことで,ブタにPartial REBOAを施行した際の血行動態の変化,造影CT施行後の血液内造影効果の残存程度,循環不全の進行程(乳酸値の推移),CTなどを把握できたために本実験の開始が円滑であった.平成29年度の進捗状況としてはモデル検証を終え,本実験を開始したところである. 検証実験およびこれまでの本実験結果において比較的再現性が高く,実験精度が良好であると考えられた.一方,当初予期していないこととして,ブタ生体内においてはバルーン内圧は大動脈圧の影響を強く受け,バルーン部分遮断程度のパラメーターとしては使用不可能であることが判明した.
|
Strategy for Future Research Activity |
実験計画はおおむね順調に遂行できているため引き続き進める.平成30年度は残り4頭の実験を行う予定である.造影CT perfusionの膨大な画像データを解析し,臨床測定可能な指標との関連を明らかにしていく予定である.しかし,前述の通りバルーン内圧は指標とならないことが判明したため,その他の指標(遮断部近位および遠位の平均動脈圧(内頚動脈および大腿動脈)の比 (femoral/carotid ratio, F/C比),フロートラックセンサーによる大腿動脈の動脈圧心拍出量(バルーン遠位の血流量モニター)と造影CT perfusionによる臓器潅流とどの程度関連しているのかを評価していくこととなる. 生体を用いた動物実験である以上,予期せぬ動物の変化により研究進捗が遅れる場合,追加実験の申請を行うが,平成30年度中に実験を終了し解析,論文執筆を行う予定である.論文公表と学会発表を平成30年度後半に達成することを目標とする.
|