2017 Fiscal Year Annual Research Report
企業組織における「働き方のダイバーシティ」の各種影響とマネジメント方法の実証研究
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17H06592
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
正木 郁太郎 東京大学, 大学総合教育研究センター, 特任研究員 (30802649)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 働き方 / ダイバーシティ / 組織風土 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は職場での「働き方のダイバーシティ」、つまり働き方や働くことに対する価値観が多様なメンバーが一緒に働くことに関する研究である。中でも「一緒に働くこと」に伴う諸問題や、そのマネジメントに関して実証研究を行う。平成29年度は、関連する研究領域の研究者や実務家と議論を重ねつつ、次の2つの調査・研究を実施した。 1つめが「働くことに対する価値観」の尺度構成(レパートリーや構造の把握)のための調査である。ウェブ・モニターを利用して会社員・公務員などの労働者を対象としたアンケート調査を実施した。現在も引き続き分析を実施中であるが、働くことに対する価値観の分類方法や、質問を行う上で留意すべき点(e.g. 聞き方)について、重要な結果が得られている。これは当初の研究計画にあった調査であり、本助成を得て当初より遂行した。 2つめが、ある製造業企業における社内アンケート調査である。元々、申請者個人が本助成とは別のプロジェクトとして過去に関わっていたものだが、同社の過去のアンケート調査のローデータを、研究者個人かつ学術目的での利用に限り二次分析に用いる許諾を得た。調査には「働くことの価値観」に関する独自項目も含まれており、こうした価値観のダイバーシティと、組織風土醸成の関係に関する示唆を得た。 以上の2つの調査データの実証分析を通じて、当初計画の「働き方のダイバーシティ」を測定するための基盤となるデータ(e.g. 質問項目の精緻化、マネジメント要因の絞り込み)が得られたものと考えている。ここから得られた結果は、平成30年度にそれぞれ学会発表を行うとともに、順次学術論文の執筆・投稿にも取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成29年度には(1)働き方に関する尺度作成のための文献レビュー、および(2)尺度作成のための定量調査、を行う予定であった。研究の結果、上記(1)(2)に関連するウェブ・アンケートを実施することが出来、現在も分析を進めている最中である。また、あわせて(3)尺度を用いた企業調査を、平成29年度ないし平成30年度の計画に盛り込んでいた。この点については、上記(1)(2)により構成した尺度それ自体を用いた調査には至っていないものの、類似した質問内容を用いた企業調査データの二次分析の許諾を得ることができた(個人的かつ学術利用の目的に限定して相談・合意のもとで利用する)。この二次分析では、「働くことに対する価値観のダイバーシティ」と、その影響や、それが好転するためのマネジメント要因に関する実証分析を行うことが出来ている。このことから、当初計画とはやや異なる進行をたどっているものの、研究計画の目的それ自体の達成には近づきつつあると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究計画としては、当初の予定通り、(1)開発中の尺度を用いた企業調査とヒアリング、そして(2)学会発表やそれに伴う議論を活かした理論モデル生成、を実施予定である。 まず(1)については、平成29年度に実施した調査データの分析結果をもとに、いくつかの企業に対して調査協力の打診を行う。協力が無事得られた場合には、企業側の関心も活かしつつ、学術利用が可能な形で調査を実施し、本研究の遂行に活かすものである。 次に(2)については、平成29年度のデータをもとに、1件の国際学会と、1件の国内学会にて経過発表を行う予定である。いずれも社会心理学など心理学の周辺領域の研究者が数多く集まる学会であり、中立的な視点から他の研究者・実務家の意見をいただいたうえで、調査分析から得られた結果をもとにした理論モデルの生成に進む予定である。
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