2017 Fiscal Year Annual Research Report
Role of autonomic nervous system on synchronization between vocal behavior and motor action in infant crying
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17H06595
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新屋 裕太 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任研究員 (20803828)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 泣き / 乳児 / 自律神経系 / 自発運動 / 発声 / 心拍変動 / 音響解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに、周産期の自発的な泣き(啼泣)に関する研究を行い、その基本周波数の特徴が、自律神経活動の個人差や、その後の言語発達と関連することを明らかにしてきた。一方、先行研究の大半は、啼泣時の発声のみを対象としており、啼泣時の生理状態の動的な変化や、発声と四肢運動の関連性については検討されてこなかった。本研究では、申請者の先行研究を発展させ、乳児期初期の児を対象に、啼泣時の自律神経活動の動的な変化を測定し、その際の発声・四肢運動の特徴および、発声-運動間同調との関連性を検討することを目的とした。 本年度は3-4ヶ月齢の健常満期産児を対象に、実験室環境下において、自発的啼泣時の自律神経活動および発声-運動間の同期性に関する調査を実施した。運動の指標として、両足の動きの加速度および躍度、両足の加速度の相関関係を評価した。また、自律神経活動の指標として、心拍・呼吸・顔面皮膚温を取得し、発声の指標として、基本周波数や音声パターン(メロディーやリズムの変動性)についての解析を行った。現在までの分析で、以下の点が明らかになった。3-4ヶ月児は啼泣時において、1)自発運動の頻度が増加する一方で、ぎこちなさ(躍度)が上昇し、両足の協調性が減少すること、2)同時に、心拍数の増加と心拍変動(ゆらぎ)の全体的な減少などの自律神経活動の動的な変化が生じること、が明らかになった。来年度はさらにデータの収集を進め、発声を含む自発運動と自律神経活動の共変動や相互作用についての分析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本研究課題の予備的計測を行った上で、実験室環境下における3-4か月乳児のデータ取得および分析を進めることができた。現在までに得られた知見については、来年度6月に開催される発達科学系の国際学会(国際赤ちゃん学会)において発表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はデータの収集および分析をさらに進め、得られた成果については国内外の学会で積極的に発表し、公の場での検討を積み重ねる予定である(国際赤ちゃん学会、日本発達心理学会など)。また同時並行で、原著論文の執筆を行い、年内に国際学術誌に投稿することを目指す。さらに、申請者のこれまでの研究と本研究で得られた知見から、乳児期初期の自発的啼泣の神経生理的メカニズムに関するレビュー論文を執筆する。
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