2017 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of pore fluid pressure on megathrust faults using teleseismic records of OBSs
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17H06604
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
悪原 岳 東京大学, 地震研究所, 助教 (30802954)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 沈み込み帯 / 巨大地震断層面 / 間隙流体圧 / ブラインド・デコンボリューション法 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
沈み込み帯巨大地震断層面の摩擦特性は,断層面に沿った間隙流体圧に大きく左右されることが知られている.沈み込み帯に設置された海底地震計で記録される地震波形データには,巨大地震断層面に由来する変換波・反射波が含まれており,巨大地震断層面の間隙流体圧を知るための手がかりとなり得る.本研究では,海底地震計の波形データから,地震波速度不連続面に由来する反射波・変換波を抽出するための新手法を開発した.新手法は,マルコフ連鎖モンテカルロ法と呼ばれる手法を利用しており,従来の従来地震学で広く使われている手法(レシーバ関数解析)のように,観測点直下の地下構造に入射する地震波の形をあらかじめ仮定する必要がない.加えて,従来の手法と比べて,1.海面多重反射波が卓越する海底地震計でも正しい計算が可能,2.高周波帯域まで安定して計算が可能であり,空間解像度の向上が見込める,3.PP反射波が抽出可能であり,新たにP波速度構造を拘束できる見込みがある,4.誤差の推定が可能,といった長所を持つ.現在までに,理論波形によるシミュレーションを行い,新手法の有用性を確かめた.また,海底地震計の実観測データに適用した場合でも,もっともらしい結果が得られることを簡単に確認している. 今後は,追加の検証を行い,手法を完成させる予定である.その後,完成された手法を各地の沈み込み帯に設置された海底地震計のデータに適用し,巨大地震断層面の間隙流体圧推定に役立てる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海底地震計のデータから巨大地震断層面由来の反射波・変換波を抽出するための新たな手法の開発に成功したものの,当初の計画より遅れており,平成29年度内の成果発表には至らなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
1.新手法の完成 前年度までに,マルコフ連鎖モンテカルロ法に基づくブラインド・デコンボリューション法を考案した.理論波形でのシミュレーションにより,同手法の有用性が確認できている.次のステップとして,海底地震計の実データに適用した場合でも手法が正しく機能するかどうかを確認し,必要があれば手法の改良を試みる.結果がまとまり次第,国際誌に投稿,国内学会での発表を行う.
2.巨大地震断層面間隙流体圧の推定 各地の沈み込み帯(西南日本・東北日本・ヒクランギ沈み込み帯・カスカディア沈み込み帯)のデータに新手法を適用し,巨大地震断層面に由来する反射・変換波を同定する.その後,波形インバージョン解析を行い,巨大地震断層面近傍の地震波速度構造を推定する.得られた結果と地質・岩石学の知識に基づき,巨大地震断層面の間隙流体圧の推定を試みる.研究成果を国際学会および国際誌にて発表する.
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