2017 Fiscal Year Annual Research Report
感染に関わる宿主植物因子の網羅的特定を介したファイトプラズマ防除戦略の基盤構築
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17H06618
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北沢 優悟 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (50803160)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | ファイトプラズマ / 感染機構 / 宿主因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、絶対寄生性の植物病原細菌であるファイトプラズマが、自身の感染を成立させるために必要としている宿主因子を同定することで、その感染機構を明らかにするとともに、ファイトプラズマ防除に応用することを目指す。即ち、ファイトプラズマを様々なシロイヌナズナ変異体に接種し、症状の進展をモニタリングすることで感染が成立しなくなる個体を選抜する。選抜したファイトプラズマ非感受性個体についてその原因となる遺伝子を特定し、ファイトプラズマが感染し植物を発病させるまでの分子メカニズムを解明する。さらに当該遺伝子を発現抑制することで、ファイトプラズマ抵抗性の付与を試みる。 本年度は、まず多個体のシロイヌナズナに対するファイトプラズマの接種系の確立を試みた。その結果タマネギ萎黄病ファイトプラズマ(OYファイトプラズマ)を媒介昆虫であるヒメフタテンヨコバイを用いて接種することで、多数のファイトプラズマ感受性シロイヌナズナ(Col-0)個体に対してファイトプラズマの感染が成立し、花器官の葉化や葉の紫色の着色(パープルトップ)といった症状が高率に観察されることを確認した。本接種系を用いて複数のシロイヌナズナエコタイプや変異体にOYファイトプラズマを接種したところ、いずれの個体においても同程度の病徴の進展が認められ、これらの個体におけるファイトプラズマの感受性には差異がないと考えられた。現在は変異体の個体数を増やし、さらなるスクリーニングを進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はファイトプラズマの接種・病徴観察による非感受性個体のスクリーニング系を確立し、非感受性個体を選抜する予定であった。現在、スクリーニング系の確立には成功しており、順次シロイヌナズナ個体を供試して選抜を進めている。一方で、スクリーニングに供試できた個体数はまだ少なく、非感受性個体の選抜には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に確立したスクリーニング系を用いてさらなる非感受性個体の選抜・原因遺伝子の特定を進める。並行して、他の植物病原体の感染成立に関わる遺伝子の変異体を取り寄せ、スクリーニングに供試する予定である。さらに植物ウイルスベクターを利用したシロイヌナズナの遺伝子発現抑制系を構築し、特定した遺伝子の発現抑制を行いファイトプラズマ感染に対する影響を解析する。
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