2017 Fiscal Year Annual Research Report
新発見の腫瘍血管動的透過経路の解明と制御によるがん治療への応用
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17H06627
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雄太 東京大学, 医学部附属病院, 登録研究員 (10802358)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | がん |
Outline of Annual Research Achievements |
担癌マウスにTGF-β阻害薬またはクロロキンを投与し、サイズの異なる蛍光標識したナノミセルを経時的に観察しNano-eruptionの発生頻度、増大速度、持続時間、拡散面積腫瘍細胞からNEまでの距離、NEが発生した血管径、最大NE発生時間の諸項目を数値化した。 研究成果の概要は以下のとおりである。 ①TGF-β阻害薬併用では70nmミセルではNano-eruptionの発生回数、最大速度、持続時間が増加したが、30nmミセルでは発生回数の有意差を認めなかった。30nmと70nmいずれのミセル投与でもNano-eruptionの最大面積が亢進した。②クロロキン併用は30nmと70nmいずれのミセル投与でもNano-eruptionの総合的な発生回数に影響を与えなかった。クロロキン併用でNano-eruptionの最大面積、最大速度は30nmと70nmいずれのミセル投与でも亢進した。持続時間は70nmミセル投与で亢進したが、30nmミセルでは有意差を認めなかった。③TGF-β阻害薬併用の30nmミセルでNEは腫瘍細胞からより遠方の血管また太い血管での発生増加を認めたが、70nmミセルではこれらの有意差を認めなかった。④TGF-β阻害薬併用と比較してクロロキン併用群は30nmと70nmいずれのミセルも太い血管のNano-eruption回数が増加した。⑤同じ薬剤を併用してもナノミセルのサイズによりNano-eruptionの反応は異なることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TGF-β阻害薬とクロロキンによるNano-eruption発生の変化が観察できており、その結果を学会で発表する機会にも恵まれた。現在その成果を論文として発表すべく投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
セレコキシブ、サリドマイドなどDDSの腫瘍分布に影響を及ぼす薬剤の条件検討によりNano-eruption発生機序の解明に迫る。
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