2017 Fiscal Year Annual Research Report
2型自然リンパ球の新規制御法を通したアレルギー疾患新規治療の開発
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17H06630
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 崇史 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30803118)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー疾患 / 自然リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では アレル ギー疾患への関与が指摘されているILC2 の新規シグナルを解明し、気管支喘息に限らずにアレルギー疾患の新しい制御法 の開発を目指している。 申請者らは、肺由来ILC2はIL-2存在下で自然免疫受容体のtoll-like receptor(TLR)2 agonist である Pam3CSK4(PAM) を投与すると IL-13 を産生する事を見出し ており、その後の研究を続けている。肺由来のILC2はTLR2を発現する事を抗体を用いたフローサイトメトリー法で確認した。ILC2はPAMでIL-13の分泌する事をELISA法で確認していたが、更にPCR法にてIL-5、IL-13の発現が上昇する事を確認した。また、PAMに加えダニ抽出物(HDM)を加えるとIL-13の分泌が更に亢進する事が判明した。これらの現象はTLR2KOマウス由来のILC2では認められない事を確認した。 次に、ILC2のPAMによる活性化をシグナリング経路阻害剤で抑制できるかを調べた。その結果、NF-κB阻害剤でIL-13分泌は強く抑制され、またAP-1阻害剤でも抑制される事を確認した。また、HDMによるIL-13分泌増強に関してもその経路に関して検討した。HDMは同じく自然免疫受容体であるTLR4やDectin-2を活性化する事が知られているのでこれらを検討したが、これらの経路を阻害してもHDMの効果が残存する事を確認した。よってこの効果も他の受容体よりもTLR2に依存的であると考えられた。 以上より、肺ILC2はTLR2を発現しPAM刺激によりIL-5.IL-13発現が促進され、HDMによりIL-13発現が更に上昇する事を申請者らは見出し、その経路に関してもNF-κB、AP-1が関与する事を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ILC2を肺から分離する過程が主に重要な実験手法であったが、比較的安定に取れる方法が確立されたのが順調と言える主な要因である。また、RNAを回収する方法も多少の試行錯誤はあったものの問題なく現在はできるようになっている。 実験動物に関してはTLR2KOマウスやTLR4KOマウスをこの計画では用いており、繁殖能力が一時期やや低下する時期もあったが現在は過不足なく実験に必要な匹数を確保できるようになっている。
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Strategy for Future Research Activity |
TLR2のILC2における解析に関しては、今後はin vivoでの疾患モデルを用いた解析を主に行う予定である。疾患モデルとしては気管支喘息に類似したモデルの解析が現状解析した結果から最も適していると考えられるので、まずモデルの構築とTLR2KOマウスにおける表現型の相違に関して検討する予定である。 また、研究計画の中の一つにILC2 に発現するニコチン受容体であるα7nAChR の制御をSLURP-1 により行うものがあったが、これに関しては現状では十分なILC2の活性化制御の効果が認められる系が構築できていない為、至適濃度や投与時期を含めた検討を行っていく予定である。
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