2017 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄異形成症候群の発症及び白血病進展における細胞老化の役割の解明と治療標的の探索
Project/Area Number |
17H06632
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇仁 暢大 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (20802359)
|
Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
|
Keywords | 骨髄異形成症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずはMDSと細胞老化の関係性を詳細に明らかにすべく、すでに遺伝子発現上昇が確認されているp16Ink4a, p21等、細胞老化関連遺伝子群のタンパクの発現上昇をウェスタンブロッティング法を用いて確認した。その結果、MDSモデルマウスとして使用したAsxl1G643fs/wtマウスではこれら遺伝子のコードするタンパク質の発現が野生型マウスと比較して上昇していることを確認した。また細胞老化に伴う表現型の変化として、造血幹細胞の細胞周期解析を行った。具体的にはマウス造血幹細胞が高頻度に濃縮されていると考えられる分画を、表面抗原に対するマーカーとフローサイトメーターを用いて同定し、同分画における細胞周期各段階にある細胞の頻度をKi67とHoechst33342染色によって確認し、G1期の不可逆的な細胞周期停止が起きていることを見出した。 また同時に上記MDSマウスモデルに置ける炎症性サイトカインや炎症性ケモカイン、プロテアーゼやタンパクといった、Senescence-associated secretory phenotype (SASP)関連因子の発現をリアルタイムPCR法を用いて検証した。その結果、IL-1b, IL-8など複数の炎症性サイトカインのmRNAレベルの亢進が明らかとなった。現在はこれらの分泌の亢進の有無を更に解析すべく、ex vivoで回収した骨髄液を使用してELISA法にて解析を行っている。 更にAsxl1G643fs/wtマウスとp16ヘテロノックアウトマウスの掛け合わせを行い、in vivoでのp16Ink4a機能阻害の効果を確認している段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた実験の一部は施行できなかったが、概ね予定通りに進められている。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは細胞老化の表現型を更に詳細に確認すべく、老化関連酸性βガラクトシダーゼ(SAβ-gal)を、マウス骨髄単核球で免疫染色を用いて検出し、その活性をフリーサイトメトリーを用いて定量化する。加えて上記マウスの細胞を用いてCDK4/6の結合を免疫沈降及びウエスタンブロッティング法を用いて検証する。更にp16ノックアウトマウスを用いAsxl1G643fs/wtマウスと交配させ、in vivoでの効果を検証する。
|