2017 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージを標的とした炎症性筋疾患の新規治療法開発
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17H06653
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
梅澤 夏佳 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (90801530)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 多発性筋炎 / 皮膚筋炎 / マクロファージ / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性筋炎/皮膚筋炎の患者検体、動物モデルを用いて病態解析を行った。H29年度は、1)マウス筋炎モデル(CIM)の病変におけるマクロファージ(MP)のサブセット解析、2)in vitroでの骨格筋細胞によるMPの形質変化誘導解析のための条件検討、3)患者由来の筋生検検体からのMP単離 を行った。 1)については、CIMを誘導し、7、14および21日目の病変筋組織から単核球を単離した。単離した単核球について、フローサイトメーターを用いてCD11b、F4/80でMPを同定し、さらに表面マーカー(CD206、Ly6C、CCR7、CD86、MHC class2 )と細胞内サイトカイン(IL-10,IL-1β、TNFα)の染色を行った。結果、CD11b+F4/80+の細胞集団について、CD206とLy6Cを用いて相補的な2集団に分別可能であった。さらに、筋炎モデルの病勢がピークとなる14日目において、従来抗炎症性と考えられてきたCD206+細胞数が、炎症性と考えられてきたLy6C+細胞数より約4倍多いことを明らかにした。以上の結果より、CD206陽性細胞を除去可能なCD206-DTRマウスでCIMを今後誘導する方針とした。 2)については、マウス骨格筋のセルラインであるC2C12の骨格筋細胞への分化を確認し、標的細胞として骨髄細胞をG-CSF,IFNγ、IL-4、IL-10などで刺激し、複数の性質のMPを作成し、その再現性を確認できた。 3)につていは、当科で施行している低侵襲法で採取された筋生検組織から、臨床上必要な検体分を取り除いた残りの検体を用いて、単核球の分離を行った。3検体を処理し、酵素の種類(Liberase TL, collagenase)などの条件検討を行った結果、Liberase TLを用いた場合において、筋塊40㎎あたり137個のCD45+細胞を採取可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス筋炎モデルについては細胞単離だけでなく、表面マーカーを用いたサブセットの同定が可能となった。各サブセットをソートしてmRNAの発現解析も重要であるが、各サブセットのin vivo での機能をより明確にする方法としてDTRマウスの使用がより重要と考えられ、その準備段階まで進むことができた。 in vitroの系はやや計画より遅れてはいるものの、セルラインを用いた解析で材料を入手しやすいことから、今後の進展が可能と考えている。 患者筋組織からの細胞単離は、新たな試みであり、H29年度中目標としていた細胞単離の条件の確立については一定の成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス筋炎モデルを用いた解析については、CD206-DTRマウスを用いた検討を最優先として、筋炎モデルにおけるCD206陽性MPの重要性について明らかにする。また、筋炎病変由来の単核球からCD206陽性MPをソートし、筋再生分子、筋萎縮分子の発現についてmRNAの解析を行い、治療標的となる分子を明らかにする。 in vitroの系については、筋管細胞のホモジェネートとともに骨髄由来MPを培養し、コントロールとなるIFNγ刺激、IL-4刺激、IL-10刺激等を受けたMPとタンパク発現を比較する。 患者筋組織からの細胞については、得られる細胞数を増やすため、検体量の確保などを考慮しRNAを採取する、あるいは少数の細胞でも解析が可能な他の解析手段について検討を行う。また、マウスモデルで治療標的の候補となった分子について、凍結筋切片を用いて免疫組織染色等で発現を確認し、ヒトでの治療開発に繋げる。
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