2017 Fiscal Year Annual Research Report
The relationship between swallowing related muscles and skeletal muscle in aging
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17H06664
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
原 豪志 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (10804164)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 開口力 / 舌圧 / 咬合力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦の死亡原因の中で、肺炎は第3位である。そのうち誤嚥性肺炎が多くを占めるため、摂食嚥下障害への対応が急務である。また高齢者にとって『食べること』は大きな楽しみの一つであり、近年、高齢者歯科学では、摂食嚥下に着目し、取り組みがなされている。2015年の介護報酬の改定の重点項目として、口腔・栄養管理への取り組みの充実が示され、摂食嚥下機能が低下しても口から食べることを支援するために、『経口維持加算』、『経口移行加算』、『療養食加算』の見直しが行われた。また、昨今、高齢者における心身機能の著明な低下である虚弱(フレイル)が取り沙汰されている。口腔機能の低下(オーラルフレイル)は、低栄養をひきおこし、フレイルに強く関連していると報告され、医科歯科連携による、オーラルフレイルの予防と早期介入が協調されている(飯島勝矢:平成26年度老人保健健康増進事業)。高齢者において、加齢に伴う摂食嚥下に関連する筋群の筋力低下、機能低下、筋量低下が報告されている。しかし、どの部位が早期に筋力低下を来たしやすいかという報告はない。本調査の目的は、摂食嚥下障害のない健常成人を対象とし、加齢と摂食嚥下関連筋群の関係を探り、各種の摂食嚥下に関する筋力の低下の特異性を調査することである。具体的には、“食べること”を『噛むこと』、『食べ物を喉に送り込むこと』、『飲み込むこと』に大別した場合、『噛むこと=咬合力』、『食べ物を舌にて喉に送り込むこと=舌圧』、『飲み込むこと=開口力』のうち、どの要素が最も加齢の影響を受けやすいかという事を調査する。平成29年度の進捗状況として、386名(男性162名、女性226名)、平均年齢は41.3歳であった。握力、咬合力、開口力、舌圧の平均は、それぞれ、30.8kg、327kg、5.8kg、36.3kPaであり、残存歯数の平均は、25.6本であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の実施目標として、東京医科歯科大学、こばや歯科を受診する摂食嚥下障害を持たない700名の計測を目標としていた。このうち、測定同意が得られていた300名への計測については、計測が完了したが、最終的には386名の計測が可能であった。測定を行う施設にて、対象の募集を促すためにポスター作成をに行い、事前に対象者の確保に努めた。また、随時計測を可能にするために、各施設にて計測行う責任者を決定し、対象者の増加に努めた。さらに、測定場所の一つである、こばやし歯科が位置する江戸川区において、摂食嚥下に関する研修を地域住民向けに行い、調査の参加を呼びかけた。当初の計画より遅れてた原因としては、研究協力施設が少なかったことが考えられる。また、設定したサンプルサイズが大きすぎた可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の計画としては、初旬から中旬まで計測を継続し、対象者の調査への参加を促すために、院内掲示や研修会の開催を継続的に行う予定である。また、高齢者の参加を呼びかけるために、地域にある、ケアプランセンサーや公民館へ出向き、チラシの配布などを行う予定である。さらに、地域住民を対象者とした計測会を行い、対象者数の増加に務める。計測を終了後、データの解析を開始する。データの解析方法は、対象群を男女それぞれ、年代を説明変数とし、咬合力、開口力、舌圧を従属変数とした、多重比較を行い、それぞれの筋力が低下する年代を計算する。加えて、加齢と咬合力、開口力、舌圧間の相関係数を算出することで、筋力低下と加齢の関係を考察する予定である。
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