2017 Fiscal Year Annual Research Report
天皇主権論の総合的研究――昭和戦前・戦中期を中心として――
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17H06684
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
坂井 大輔 一橋大学, 大学院法学研究科, 特任講師(ジュニアフェロー) (40805420)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 憲法史 / 憲法学史 / 日本近代法史 / 天皇制 / 主権論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昭和戦前・戦中期の公法学者たちが展開した天皇主権論について、綿密な資料調査に基づき、その全体像を明らかにすることを目的としている。美濃部達吉に代表されるいわゆる「立憲学派」の法学者たちの学説やその今日的意義はよく知られているが、それと比較すると、天皇主権論を唱える法学者たちについての研究は依然として進展が少ない。しかし、戦前の憲法学のあり方を正確に把握するためには、この「天皇主権学派」に対する理解が不可欠である。このことは、天皇の退位問題を巡るさまざまな議論の中で、時に帝国憲法についての言及がなされていることからも明らかである。 平成29年度は、資料調査および収集に従事した。その際、穂積八束・上杉慎吉ら、比較的よく知られている学者の資料はもとより、日本国憲法の制定に枢密院議長として関与した清水澄、京都帝国大学の憲法学者たち(井上密・佐藤丑次郎・黒田覚など)、私立大学に在籍した教授(山崎又次郎など)にまで裾野を広げること、また、著書・論文にとどまらない多くの資料(手書の文書など)にも目を通すこと、を意識した。これにより、昭和戦前・戦中期の「天皇主権学派」についての資料を、ある程度網羅的に収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の目標である資料調査・収集は、「概要」欄に掲げた憲法学者を中心として、概ね順調に実施することができた。ただし、所在は把握しているものの調査未実施である資料も存在しており、これらについては平成30年度に追加の調査・収集を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に調査できなかった資料について、追加調査を実施する。その上で、収集した資料の分析を進めていく。
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