2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Study of Post-Merger Integration Process
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17H06687
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
加藤 崇徳 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (70801992)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | M&A / 企業多角化 / M&A後の統合プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,企業統合・企業買収(M&A)後に行われる統合プロセス(PMI)が,どのような要因によって促進・あるいは阻害されるのかを検討することにある.本研究では,とりわけ,2度の合併によって誕生した産業ガス大手企業のエア・ウォーター株式会社を事例として,M&A後の統合プロセスのダイナミクス(時間展開)に焦点を当てる. 平成29年度に行った活動は,大きく分けて2つある.第1に,アーカイバル・データの収集である.国会図書館に所蔵されている業界紙や,財務情報,特許データなどの収集を行った.その中でも特筆すべきデータセットは,調査企業の協力を得て入手することができた,被買収企業のM&A後の売上や利益率についての経時的データと,M&A後の社内報である.これら2つの社内情報は,M&A後の統合プロセスを動態的に観察することを可能としている.このデータセットの一部を分析したものは,一橋ビジネスレビューのビジネスケースに掲載されている. 第2に,インタビューによる定性的なデータの収集を行った.平成29年度は,買収側と被買収側双方の関係者にインタビューを行うことができた.そこでは,M&Aの動機や,その後の管理体制など,M&A後の統合プロセスについて,当事者の視点をインタビューした.上述したデータセットともに,これらのインタビューで得た定性的データをまとめて分析した結果は,国内学会での報告する予定である. 以上のように,平成29年度は,当初の予定通り,本研究課題遂行に必要なアーカイバル・データの収集と,インタビューなどの定性的データの収集を行い,分析結果の一部を公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は,当初の計画通り,アーカイバル・データの収集と,企業へのインタビューを行うことができた.そのデータの分析結果の一部は,一橋ビジネスレビューで既に公表している.さらなる分析結果も国内学会で発表予定である.おおむね順調に研究が進展しているといえるだろう.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度も,当初の計画にしたがって,平成29年度に収集したアーカイバル・データと定性的データの分析を行い,研究成果の報告・公刊を目指していく.平成29年度は,えられたデータのまとめと,主として事実確認の分析となったが,平成30年度は,M&A後の統合プロセスのメカニズムについて,より深く検討していく予定である.調査協力企業へのインタビューは,継続して行う予定があり,そこでは新たに情報を収集するとともに,分析の途中経過や研究成果のフィードバックを適宜行う.平成29年度10月に研究代表者が転任し,当初計画していた論文データベースの利用が難しくなったものの,既に代表的な学会誌にはアクセスできる環境を整えており,研究の推進には問題がない状況である.そのため,理論的な検討も並行して行っていく.
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Research Products
(1 results)