2017 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜の部位特異的な組織応答を制御する新たなメカノトランスダクション機構の解明
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17H06698
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北見 公平 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (20804579)
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Project Period (FY) |
2017-08-25 – 2019-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 矯正学的歯の移動 / 機械的刺激 / プライマリーシリア / メカノセンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜は機械的刺激に対し極めて鋭敏に反応する組織であるが、機械的刺激がいかに感知され、歯周組織改変を制御しているかについての理解は依然として乏しい。プライマリーシリアは、細胞表面に突出した非運動性の繊毛であり、外部環境の変化を細胞内シグナルへと変換する機能を持つことが知られている。プライマリーシリア上には種々の増殖因子受容体が集積し、細胞応答の起点となるとされている。その一方で、プライマリーシリア自身がメカノセンサーとしても機能していることが報告され、ケモ/メカノセンサーとしての幅広い機能の重要性が注目されている。本研究は、機械的刺激受容体としての機能が期待されるプライマリーシリアの歯根膜組織中の局在特性に着目し、矯正学的歯の移動モデルマウスを用いて、歯根膜組織の機械的刺激に対する細胞応答メカニズムを遺伝子工学的および組織化学的に評価しようとするものである。 クローズドコイルスプリングを用いた矯正学的歯の移動モデルマウスの組織解析では、歯根膜組織中の増殖マーカーがコイル設置後およそ24時間後に増加していた。このことは、歯根膜細胞が機械的刺激に対して速やかに応答する機構を有していることを示唆している。これまでの解析では、ラットの歯根膜組織上ではプライマリーシリアを検出している一方、マウス歯根膜組織においては検出率が低く、プライマリーシリアの部位特異性や指向性の解析に十分な条件が整っていない。現在マウス歯根膜組織の至適染色条件を検討している。また、マウス頭蓋冠由来の骨芽細胞ではin vitroにおいて高確率でプライマリーシリアを検出できていることから、現在マウス歯根膜由来の歯根膜細胞における検出率などについても検索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス歯根膜におけるプライマリーシリアの局在解析は本研究課題達成の基盤的部分であるため、これに関する検索を詳細に行っている。そのため次段階の解析がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、マウス歯根膜組織においてのプライマリーシリアの検出率が低く、局在解析に十分な条件が整っていないため、染色条件を含め、これについて検討を進めている。またマウス歯根膜細胞のプライマリーシリアの発現率について培養条件下での検索を行う。 プライマリーシリア検出の条件が整い次第、下記の解析を行う予定である。 1.骨形成マーカーや骨吸収マーカーにより歯周組織改造の部位特異性とプライマリーシリアの出現率との相関の解析。 2.各種細胞マーカーによる細胞種の分布とプライマリーシリアの出現率の比較検討。 3.Cre-LoxPマウスシステムを用いて時空間特異的に歯根膜組織のプライマリーシリアを欠失したマウスを作製し、コントロールとの比較を行う。
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